448話 神力の解除方法なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
俺は、そろりと立ち上がった。
そして右手と左手を振りかぶり、ネグリジェを脱ごうとしている彩花ちゃんと沙也加ちゃんの脳天に手刀を落としたのだ。
「ていっ、ていっ」
二人は服を脱ぐ手を止めて頭を両手で抑えてしゃがみ込む。すると2人の胸の谷間が顕になる。うん。サイズも同じようだ。程よい大きさで形も素晴らしい。
……でだ。そのことは今はどうでもいいのだ。
俺はそれほど強く手刀を落とした訳じゃない。いつもの恵ちゃんに落とすのと同じくらいの力だ。
だが、効果はあったようで、二人はやがて目を大きく見開いて辺りを伺うのであった。
「……わ、私たち、……な、な、なんて格好をしてるの~!!」
「……な、なんで大吉くんの部屋っ!? み、見ないで~!!」
どうやら正気に戻ったようで彩花ちゃんと沙也加ちゃんは両手で自分をかき抱き、身悶えして涙目で訴えてきた。そして俺は要望通りに、そっと目をそらす。
どうやら手刀は効果があったようだ。まさか女神だけじゃなく、女神に神力で操られた対象にも効き目があるとは思わなかったが、どうにかなったようだ。
だが、これはこれで困った展開になった。
正気に戻った2人の従姉妹たちに、いま彼女たちがここにいる理由を説明しなければならないからだ。だが、恵ちゃんが神様であることや神力のことは伏せなければならない。
……正直。困ったな。
俺はちらりとだけ視線を送る。すると従姉妹姉妹はまだ身悶えしていた。よほど恥ずかしいのだろう。
さて、どう説明するかと悩む。
そんなときだった。
ふと見えたのだが、彩花ちゃんも沙也加ちゃんもなんかおかしいのだ。目がトロンとして焦点が定かではなくなり、あれだけ恥ずかしがっていたにも関わらず、両手を体から離して俺を熱っぽい視線で見ているのだ。
そしていきなり腕を解いた彩花ちゃんと沙也加ちゃんが俺に飛びついてきた。彩花ちゃんは俺を前から、沙也加ちゃんは俺を後ろから抱きついてきたのである。
「……え、え、え……!?」
俺は動揺した。
俺の手刀で神力は解けたはず。なのに、2人とも俺にしっかりしがみついて離れないのである。
「大吉く~ん。私を好きにして……」
「彩花ずるい。私もめちゃくちゃにして」
マズい。
どうやら神力が解かれたのは一時的だったようだ。やはり手刀は女神に対して有効であって、人間相手にはそれほどの効果はないようだ。
そして俺は腹と背中に柔らかいものを押し付けられてしまい、まったく動けなくなる。
……いや、無理に動こうとすれば動けない訳ではないのだが、これだけ密着されていると逃れようと暴れればもっと柔らかいものを押し付けられてしまうだろう。
進退窮まった。
このままでは俺の一部が反応してしまい、理性も飛んでしまうだろう。それだけ2人は魅力的な美少女なのだ。
まして2人ともそっくりと言うのが、斬新で、俺の中に変な性癖が生まれてしまいそうだ。
万事休す。
そう思った。今、こうしている瞬間も前は彩花ちゃんの柔らかいもの、後ろには沙也加ちゃんの柔らかいものが、ぐりぐりと押し付けられているのだ。
……な、なんとかならないか。
俺は必死で頭を回転させる。
力ずくで押し倒すのは無理だ。彼女たちを転倒させてしまう。
じゃあ、腕を掴んで引き剥がすか? いや、これも無理だろう。素直に離れてくれる訳もなさそうだし、きっと暴れるだろう。その間に俺に理性がすっ飛ぶ。
……ああ。俺にも神力が使えればなあ……。
そんなしょうもないことが頭に浮かんだ。無理なものは無理。そんなことはわかっている。俺は平凡な人間に過ぎない。あの女神たちとは違うのだ。
そんなことを思っていると、脳裏にふと、ある姿が思い浮かんだ。そうなのだ。あれに成れれば、この展開を一気に打破できる。
そう強く思ったときだった。
俺の周りでボフンと白い濃霧が湧き上がった。それに驚いたようで彩花ちゃんと沙也加ちゃんが俺から離れた。
……も、もしや……。
やがてゆっくりと霧は霧散し腫れ上がる視界。
そして俺の姿を見た彩花ちゃんと沙也加ちゃんが声を揃えて叫ぶのであった。
「「ええ~っ……!?」」
手刀はあんまり効かなかったのです。(`・ω・´)∩
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