444話 巨大な部屋と巨大な神棚なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
そこは巨大な畳敷きの和室だった。広さは100畳はあるんじゃないか……。
そして無垢の白木の鳥居があり、部屋の中央には白木造りの5段ほどの階段があり、その上にも白木造りの寝殿造りの建物があったのだ。
つまり天井もその建物に合わせて高くなっている。
「どうですっ。我ながらいいと思うのですっ」
「……なんか、神社って言うよりも神棚みたいな造りだな」
そうなのだ。
神社と同じく鳥居があってそこには紙製の紙垂が渡されている。そしてその奥に白木造りの本殿がある訳だが、賽銭箱もないし、だいいちに建物の奥行きがなく薄っぺらなのだ。そのことから俺にはこれが神社じゃなくて神棚だと思ったのだ。
「そうですねっ。神棚をイメージして造りましたっ。やっぱり室内なので神棚かなっ、って思ったのですっ」
なるほど。
どうやら俺が感じた印象は正解だったようだ。
そこで俺は、あることをふと思い出した。それは恵ちゃんと出会った最初の頃のことだ。
「……なあ、神力で神棚を造れるなら、どうして以前、俺に神棚を買わせたんだ? 自分で造れば良かっただろう」
すると恵ちゃんは残念そうな表情になる。そして答えるのであった。
「……私の神力は一時的なものなのですっ。なので長時間維持できないのですっ」
「そうなのか?」
「はい。だいたい3日間くらいしたら消えちゃうんですっ」
なるほど。
神力で創造したものは期間限定のようだ。だが、そこでまた俺はふと疑問に感じるものがあった。
「あれ? 前に臥留子ちゃんが創った世界では中世ヨーロッパの街並みを創ってただろ? あれは200年間維持できたんじゃないのか?」
そうなのだ。
臥留子ちゃんに会うために彼女の家である祠の中に創造世界の中で俺たちは互いにはぐれたのだ。そのとき恵ちゃんは女だけの街を創り、俺が到着するまで200年間待ち続けていたと言っていたはずなのだ。
「……あれは。……恥ずかしいのですが、臥留子ちゃんの創った世界が強力だったから可能だったのですっ。彼女は私よりも創造物を維持する神力が高いので臥留子ちゃんの神力に乗っかった状態なので維持できたのですっ」
なるほど。
女神たちの間にも得手不得手があるようだ。そして創り出した異世界を維持する力は恵ちゃんよりも疫病神:山井臥留子ちゃんの方がずっと上ってことだな。
……一時でも恵ちゃんを疑ってしまった。
「なるほど。理解した。……大丈夫だ」
だが俺の表情に疑問は張り付いていたようだ。急にほっぺを膨らませると不満顔になったのだ。
「……ああっ。もしかして私が神力をケチって神棚を買わせたって思ってるんですかっ。私はそんな悪い神じゃないですよっ」
「すまん。すまん。……確かにちょっと疑問には思った。だが、説明を聞いて納得したから本当に問題ないんだ」
俺は素直に頭を下げた謝るのであった。すると恵ちゃんは許してくれるのであった。
「……わかりました。説明しなかった私も悪いです。……でも買ってくれたのは嬉しかったんですよっ」
機嫌を直した恵ちゃんだが、言葉の後半部分を言うとちょっと顔を赤くしたのであった。それも、まあ、可愛いな。
「これ、この家を外から見たらどうなってるんだ? こんな巨大な部屋を増築したら隣の家の敷地に入ってしまってるぞ」
「それは大丈夫ですっ。あくまでこの家の中の空間を神力で操作しただけですので建物の外観は変わっていませんっ」
「そ、そうなのか。なら無問題だな」
「はい。無問題ですっ」
さすが神力。……なんでもありだな。
俺は改めて神力のデタラメな能力を実感するのであった。
維持に期限があるのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「師匠を追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。