表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
442/513

442話 2人の識別方法なのです。

基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

「ははあ。試すつもりですねっ。そのために同じ服装にしたんですねっ」




 そう答えた恵ちゃんは顎に指をやりながら2人を興味深く観察している。だが彩花ちゃんと沙也加ちゃんの外見は本当に似ているのだ。背丈も同じで身体のスタイルも同じ。そして声もそっくりで俺は小さいときによく間違えたのを思い出す。




 ……いや、よく間違えたのではない、間違えるように誘導されていたのだ。

 例えば彩花(あやか)ちゃんと名乗った後に沙也加(さやか)ちゃんの着ていた服と交換して、俺に話しかけたりして沙也加ちゃんだと思わせて、実は彩花でした~と騙したりなどだ。




 そんなこともあり、俺はもう2人の区別を諦めていた。

 どっちかが彩花ちゃんであり、どっちかが沙也加ちゃんでいいじゃないかと言うことだ。だが、恵ちゃんはそうじゃなかった。上目遣いになり宙を睨み、うむむ、と唸っている。やがて左側を指さした。




「左側が彩花ちゃんで、右側が沙也加ちゃんですっ」




「当たりよ。不思議ね」

「よくわかったわね。なにか区別する特徴でもあるのかしら?」




 そんなことを2人は言うが、俺は当てずっぽうだと思っていた。確率は50パーセントなのだ。適当に答えても二分の一の正解率だからな。




「わかりますよっ。おふたりの魂が異なるからですっ」




「ホントかしら?」

「じゃあ、もう1回試してもいい?」




「いいですよっ。じゃあ、私は一旦廊下に出ますから、彩花ちゃんと沙也加ちゃんは移動するなり、そのまま座っているなりしてくださいっ。準備が終わったら呼んでくださいねっ」




 そう言うと恵ちゃんは廊下に出た。そして襖をぴしゃりと閉めたのでこの居間の様子はわかるまい。

 そして彩花ちゃんと沙也加ちゃんは互いに頷くと立ち上がって位置を交代する振りをして、そのまま座った。音をさせたことで移動したと見せかけるつもりなのだろう。

 つまり2人は動いていないのだ。なので左側が彩花ちゃんで右側が沙也加ちゃんのままだった。だが、それは恵ちゃんにはわからないはずだった。




「終わったわよ」

「もういいわよ」




 2人がそう呼びかけたので恵ちゃんが居間に入って来た。そして2人を見比べる。そしてほくそ笑むのであった。




「わかりましたよっ。……ははあ。私を引っ掛けようとして小細工したのですねっ。2人は移動していませんっ。今回も左側が彩花ちゃんで右側が沙也加ちゃんですっ」




 すると彩花ちゃんと沙也加ちゃんの顔に驚きが浮かんだ。心底信じられないと思ったようだ。




「……驚いたわ。正解よ」

「当たってる。……よくわかるわね」




 俺も本当に驚いている。どこからどう見ても区別なんかつきそうにないからだ。

 なにか方法があるんだろうか……。




(……なあ、恵ちゃん。聞こえているか?)




 俺は頭の中で言葉を念じてみた。俺からは念話なんて使える訳がない。ただの人間だからな。だが、ものは試しだと思いやってみたのだ。




(あ、大吉さんっ。聞こえてますよっ)




 どうやら俺の方からでも通じたようだ。これはありがたい。




(どうやって彩花ちゃんと沙也加ちゃんの識別をしたんだ? まさか勘ってことはないよな?)




 すると恵ちゃんは少し考え顔になる。だが俺とは目線を合わさない。念話の存在がバレるとは思えないが、万が一のことを考えてのことだろう。




(……魂が異なるからですっ。これはおふたりのようにそっくりな一卵性双生児でも別人なんですから当然なのですっ)




(よくわからん説明だな……。もっと俺にもわかりやすい説明をしてくれないか?)




(……う~ん。……あ、そうですっ。スピリット・クエストの中で大吉さんが鑑定したい物に触れるとステータスが表示されて確認できましたよねっ? あれとほぼ同じようなものですっ)




(……なるほど。つまり恵ちゃんの目には2人のステータスが見えて、それで判別できているってことか?)




(そう思っていただいて構いませんっ)




 なるほど。

 さすがは神力だ。不可能を可能にしてしまっているのだな。

 まあ、自分を俺の姉として設定して周囲を納得させちまうくらいの能力があるのだから、こんなものはお茶の子さいさいなんだろうな。

魂のステータスが異なるのです。(`・ω・´)∩


 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「師匠を追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ