440話 お姉ちゃん爆誕なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
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「……な、な、なっ……」
俺は思わず絶句してしまった。言うに事欠いて”お母ちゃん”とはなんてことを言うんだと思ってしまったのだ。
だが、事態は俺の予想のずっと斜め上を行っていたのだ。なぜかお袋はそれを疑問に思うこともないようで、ニッコリと笑顔を見せたのだ。
「お帰り。恵もいっしょだったのね?」
「そうなんですっ。駅で大吉とばったり出会ったのですっ」
「そうなの。すごい偶然ね」
驚いたことに会話が成立しているのだ。どうやら俺のお袋は恵ちゃんを自分の子供のひとりと認識しているようだ。さては神力を使ったな。
そんなときだった。
(……大吉さんっ。聞こえますかっ?)
(……ああ。念話か)
(そうですっ。今から事情と言うか、設定を説明しますねっ)
この念話はPCショップでゲームのデモプレイのアルバイトをしていたときに女神たちが使っていたものだ。
今回もお袋に聞かれないように使ったのだとわかった。
(ああ、頼む。どういう設定なんだ?)
(私は大吉さんのお姉さんなのですっ)
(……お姉さん? どう見ても、お前のポジションは妹だろうが!)
そうなのだ。
恵ちゃんは外見は小学校高学年くらいにしか見えないのだ。俺が祠にお参りしたときに、本人曰く”ちょろっと具現化”したときに幼い身体で登場して、その姿をそのまま使っているのだ。
だから、どう見てもお姉さんではなく妹の方が説得力があるはずだ。
(……だから説明をするのですっ。いいですかっ? 私も最初は大吉さんの妹という設定にしようと思いました。だけど無理なのですっ)
(どう、無理なんだ? 外見からすれば妹ポジション一択だろう?)
(……考えてみてくださいっ。大吉さんは高校一年生なんですよっ。その妹だとしたら、良くて中学三年生ですっ)
(そうなるな)
(だとしたら義務教育ですよっ。義務教育の子供がどうして実家を出て生活しているですかっ?)
なるほど。
確かに恵ちゃんが言う通りだ。中学生が家を出て一人暮らしをしている設定は、明らかにおかしい。
……なるほど。その辺を考えたのがわかった。
(妹に出来ない設定なのは、わかった。……で、お前は俺の何歳上のお姉ちゃんなんだ?)
(大学生って設定にしましたっ。女の子でも遠くの大学に通っているならば一人暮らしもあり得ますからねっ)
(なるほど。……それにしては外見が幼いような気もするが、……まあ、いい。そういう女子大生もいるだろうしな)
そのとき俺の頭の中で”合法ロリ”という単語が浮かんだ。
合法ロリとは、アレだ。ロリコン趣味の男が相手の合意さえ取れれば犯罪になることなく手が出せる対象のことだ。詳しくはネットででも検索してくればわかるだろう。
「お母さんは買い物に行くから、恵も大吉も家に入って待っていて。……そうそう彩花ちゃんも沙也加ちゃんもリビングにいるわよ」
すると開け放たれた扉の奥、廊下の向こうにあるリビングから若い女性の賑やかな声が聞こえてくるのであった。
お姉ちゃんなのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「師匠を追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。