436話 劣化龍との戦いなのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
俺が触れている間にも大蛇はどんどんと移動し、やがて細い尻尾となり背の高い草原の中へと姿を消して行った。
「――魔物だな。この蛇は”劣化龍”と言うらしい。当然だが肉食で食べ尽くすまで獲物を食べ続ける凶悪なヤツだな」
俺は目の前に表示された半透明の画面に書かれた”劣化龍”の情報を2人に伝える。まあ、言葉にしなくても2人とも俺の両脇で同じ画面を見ている訳だからわざわざ伝える必要はないんだがな。
「”劣化龍”って言うくらいですから、劣化した龍ってことですよねっ?」
「まあ、そうなんじゃない。……蛇って手足や翼がないから龍が劣化したとも言えるわね」
そうなのだ。
確かに東洋の龍は蛇のように胴体が長い。だが龍には手足や場合によっては翼があったりするから、そういう意味で劣化した龍ってことなんだろうな。
「どうしますっ? このまま放置しちゃっていいんでしょうかっ?」
「倒すの? ……さっきのエラー・ヒューマンみたいに攻撃魔法は効かない場合ヤバいんですけど……」
「……どうだろうな? さっきのエラー・ヒューマンは特別だと思うがな。身体全体を見た訳じゃないが、ただの巨大な蛇だろう? まさか魔法無効とは考えにくいな」
それから俺たちは話し合った。
ここはイチバーンメの村に近い。なので放置した場合、村が全滅する可能性が高い。なんせ食べ尽くすまで獲物を食べ続ける大食漢みたいだしな。
「じゃあ、討伐しましょうっ」
「そうね。やるだけやって見ましょう。……どうせ私たちは死んでもゲームだから生き返るんでしょ?」
――そんなときだった。
街道で会議をしている俺たちの背後から巨大な黒い影が突如現れて俺たちを日陰の中へと入れたのだ。
そこで振り返ると……。
「シャャャー!!」
巨大な蛇が鎌首を持ち上げて俺たちを見下ろしていたのだ。
そうなのだ。俺たちの気配に気づいたようで劣化龍が襲いかかろうとしていたのであった。
鎌首の高さは約5メートル。これならば胴体全部では20メートルくらいはあるだろうか。
「出ましたねっ。龍の劣化版っ」
「出たわね。でかいだけの蛇!」
メグミとロキが手を前に伸ばす。するとメグミの前には雷光の玉がロキの前には巨大な炎の玉が浮かび上がった。
「行きますっ。――ほにゃらっ」
「行くわよ。――ほいっ」
そして稲妻が走り、炎弾が弾かれた。それらは外すことなく”劣化龍”の頭へと命中する。すると、ガガンッと激しい音が響き劣化龍は稲妻と炎に包まれるのであった。
そして静寂が戻った。
すると、ドウンッと地響きを立てて劣化龍だった黒焦げが地面へと倒れるのであった。
「やりましたっ。一発でしたねっ」
「やったわね。一撃ね」
そうだった。
やはり2人の攻撃魔法はチートなのだ。まだゲーム序盤なのにあり得ない程の攻撃力を持っている。なので先程のエラー・ヒューマンが例外なだけで、それ以外の魔物などただの一撃で屠れるのだろう。
一撃なのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「師匠を追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。