433話 街道に出る魔物と遭遇なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
それから俺たちは街道を王都の方角へと進んだ。
空は青く、白い雲がぽっかりと浮かんでいる。時折吹いてくる風も心地よく、街道の両側の草原の草たちをなびかせている。
なんともピクニック気分だ。
「魔物が出現する場所は遠いんでしょうかっ?」
「そうね。あんまり遠いとなんか面倒になってくるわ」
「どうかな。村人なんて遠くまで出かけないから、それほど遠くはないんじゃないか」
そうなのだ。
自給自足の村で暮らす村人たちなのだ。なので遠くの地まで行く必要もないのだから俺は案外近いのでじゃないかと思っている。
そしてちょうど良い丸太が道の脇に転がっていたことから、俺たち3人はそこで食事休憩をすることにした。
手軽に食べられることと、喉の乾きを癒やせることから、村で買った果物をいくつか食べるのであった。
そしてそんなときだった。
「……あの草原の向こうになにかいませんかっ?」
「……そうね。頭らしきものがいくつか動いているわね」
そうだった。
草原には人の背丈ほどの長い草が茂っているのだが、その向こうに人の頭のようなものがときどき見え隠れしているのだ。
こちらを伺っているという感じではなく、数人が一列になって移動しているように思えるのだ。
「イチバーンメの村の人でしょうかっ?」
「どうかしら? ここは畑って訳でもないし、こんな遠くまで村人が来るかしら?」
「……だよな」
俺もロキの意見に賛成だった。
村人がこんな場所まで来るとは思えない。だとすると……。
「ああっ。あの人たち、頭が銀色ですよっ」
「そうね。兜かヘルメットでも被っているのかしら?」
そうだった。
陽の光がちょうど頭らしき部分に反射したことで銀色に光っているのがわかったのだ。
「でも、村人が金属製の兜やヘルメットなんか被るでしょうかっ?」
「変ね。……これは警戒が必要かしら」
「だな。魔物の可能性がある。いつでも戦えるように準備しておいてくれ」
そう言って俺は手に入れたばかりの”賢者の斧”をアイテムボックスから取り出して装備した。
ちなみにロキには錫杖があるが、メグミは素手のままである。そのうち杖でも持たせた方がそれらしいし、いいかもしれないな。
「ああっ! こっちに向かって来ますよっ」
「私たちに気がついたようね」
草原の茂みの向こうから銀色に光る頭部が集団になってこちらに向かって来るのが見えた。両手で茂みをかき分けながら走って来るのだ。
「ええっ! あれ、なんですかっ! 兜やヘルメットじゃないですよっ」
「ちょ、ちょっとキモいんですけど……」
メグミとロキがそう言うのはもっともだ。
茂みから飛び出してきたのは人間そっくりだが人間ではなかった。銀色なのは頭部だけじゃなく全身がシルバー一色で光っている。
まるで頭からつま先まである銀色の全身タイツを着用しているみたいに見えるのだ。
そしておかしいのはそれだけじゃない。顔はのっぺらぼうで目も鼻も口もない。頭髪もなければ耳もない。そして両手の先に指がない。一本の棒みたいになっている。
そしてその数は5体。それらが両手を振り回し身体を奇妙にくねらせながら迫ってくるのだ。
「「「「「グモモモモ~ッ!!」」」」」
口がないのに叫び声を上げてきた。そして俺たちとの距離はもう20メートルも残されていなかった。
銀色の人型なのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




