431話 女神の使命なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「はい。私はイチバーンメの村のライラです。……病気のお母さんに飲ませる薬草を採りにここまで来たのです」
やはり、ライラで間違いないようだ。綺麗で整った顔をしているのだが、その表情に嘘は感じられない。
だが、……しかし……。
「俺はライラはもっと小さい女の子だと思っていたんだがな……」
「えっ? 私は子供ですよ。……あ、あれっ。身体が大きくなっている」
ライラはその時点で気がついたようだ。
どう見てもライラは大人の女性で背丈もあり、胸もしっかり大きくなっていたからだ。着ていた服が子供用だったからか、おへそなんか丸見えだ。
「あれ? 私、9歳なんだけど……」
「どうやら、そこから10歳は成長してしまっている状態だな」
俺はある疑いを持っている。
それはこのライラが魔物なんじゃないかと思っているのだ。スピリット・クエストに限らずだがファンタジー世界では魔物が人間に化けることは数多いのだ。
だが、この場面は違っていた。なぜならば自分が成長したことに気がついたライラは目が熱を帯びトロンとした表情になったからだ。
「……って、ことは私は大人になれたんですね。……ああ、勇者様、私を好きにしてください!」
「ぬ、ぬおおお……」
突然だった。
ライラは足の痛みを無視して俺に抱きついて来たのだ。
そして俺は思わずのけぞってしまう。なぜならば俺の身体に成長したライラのたわわな胸が押し付けられてしまっているからだ。
……だめだ。柔らけえ。……頭がどうにかなりそうだ……。
これは強烈だ。
俺の身体の一部が反応してしまいそうになる。ライラは美しく、スタイルもいいのだ。こんな女性に抱きつかれておかしくならない男などいないだろう。
そしてライラだが、とても激しいのだ。胸をぎゅうぎゅう押し付けるので形がひしゃげる。そしてそれだけじゃなく、足も絡めて全身で俺を求めているのだ。
だが、そこで俺はあることに疑問を抱く。
スピリット・クエストは全年齢対象のゲームだ。こんなお色気のシーンはないはずなのだ。
そのことから俺は別の疑念を抱き、ふと、メグミに目をやる。
――ビンゴだな。
メグミはとっさに向けられた俺の視線を受けると、さっと目を反らし、調子っぱずれは口笛を吹き始めたのだ。
「ロキ。メグミに麻痺魔法をかけろ」
「なんかわからないけど、わかったわ。――ほいっ」
「うぎゃああっ……」
メグミがのけぞった態勢で静止した。ロキの麻痺魔法の効果だ。俺は乱暴にならないように慎重にライラを引き剥がして、メグミの元に行く。
そして手刀を頭に落とすのであった。
「はう。……痛いです」
涙目になったメグミは頭を押さえながら呻く。どうやら手刀で麻痺魔法も解除されたようだ。
「お前はゲーム世界に来てからも子宝計画をするつもりなのか?」
「ううっ。……だってこの世界もひとつの世界なんですよっ。この世界にもダイキチの子供がいっぱいになって欲しいんですっ」
なんとも己の使命に忠実な子宝の女神だった。
その後、俺の指示でライラに掛けられた神力は解かれた。すると見た目通り9歳の少女になったのだ。
「勇者様、ありがとうございます。私は魔物に追われて崖から落ちてしまったのです。足を挫いてしまって動けなかったのです」
もうわかっている情報を伝えてくるところを見ると、自分が大人の女性に姿を変えられたことや俺に抱きついていたことは記憶、……NPCだから記録か、……には残っていないようだった。
こうして俺たちはライラを連れてイチバーンメの村へと戻ることにした。ライラの捻挫はそこら中で生えている”上等な薬草”で治した。なので自力で歩けている。
そして俺たちは村へと到着するのであった。
ライラには神力が使われていたのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。