430話 少女を発見なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「……はあ、はあ、はあ」
それから何分経過しただろうか。俺はようやくジャイアント・ボアを倒した。ドウッと音を立てて横倒しになったボアは、やがて光の粒となって消えていく。地面に残ったのはたくさんの銀貨だった。
「お疲れ様ですっ」
「……まあ、倒せたのだから結果オーライね。……ねえ、思ったんだけど、もっと良い武器を手に入れたらもっと強くなるのよね?」
俺が、そうだ、と頷くとロキは少し考え顔になるのであった。
そして俺たちは地面に落ちている大量の銀貨を手に入れるのであった。
そしてその後であった。
「――はっ? なにか聞こえてきますっ」
そうメグミが叫んだのだ。
そして辺りを見回しながら森の奥の方へと走り去ってしまう。
「……なにか聞こえたか?」
「全然。……まあ、でもメグミは元々耳がいいのよ」
どうやら俺とロキには聞こえないがメグミにだけは、なにかが聞こえたらしい。
俺とロキはどうしようかと互いの顔を見ていたが、メグミが戻って来る気配はない。
そんなときだった。
「ああっ、人がいますっ。大変ですっ。来てくださいっ」
こんな風に遠くの方からメグミの声が聞こえてきたのだ。俺とロキは互いに頷き合った。
「ライラかもしれないな」
「そうね。行ってみましょう」
俺とロキは駆け足でメグミの声がした方角へと向かった。するとすぐにメグミは見つかった。地面に両手と両膝を付いて下を見下ろしている。どうやらそこから下は崖になっているようだ。
そして俺はメグミの真横に立ち、崖の底を見下ろす。すると底までは4メートルくらい深くなっていて、そこに若い女性が仰向けで倒れているのが見えた。
どうやらこの場所から下に落ちてしまったように思える。
「無事なのか?」
「たぶん大丈夫ですっ。そして見た目からは外傷はないようですっ」
「見て。あっちから降りられそうよ」
ロキが指差す方向を見るとゆるやかに降っている道みたいになっている箇所があった。確かにあそこからなら崖下に降りられそうだ。
そして俺とメグミ、ロキの3人はその場所からゆっくりと歩き、崖下に到着して倒れている女性の元に向かったのであった。
「良かったですっ。息がありますっ」
「怪我もないようだし、どうやら気絶しているだけのようね」
ロキの見立ては正しいようで、やがて若い女性はゆっくりと目を開けるのであった。
「……こ、ここは? ……はっ。確かジャイアント・ボアの群れに追われて……」
やはりこの女性は魔物の襲われて逃げたのだが、そのときに崖から落ちてしまったようだ。そして女性はゆっくりと立ち上がろうとするのだが、足を挫いたみたいで自力では動けない様子だ。
「あなたはライラさんですかっ?」
メグミが尋ねると女性は頷いた。やはり薬草を採りに山に入り行方不明となっていた女性で間違いないようだ。
「みなさんは助けに来てくれたのですね。ありがとうございます。……はっ。貴方様はもしや勇者様では?」
「ああ。勇者ダイキチだ。そしてこちらが仲間のメグミとロキだ」
「……はっ。もしや使徒様まで。なんという幸運なんでしょう」
ライラは安堵の表情になる。助けに来てくれただけではなく、それが勇者と精霊の使徒なのが嬉しかったようだ。
この誰もいない山の中で負傷して不安だったのだろう。その笑顔は晴れ晴れとしていた。
そこで俺はふとあることに気がついた。
それは眼の前のライラの年齢だ。ライラは見た目20歳くらいに見えるのだ。
……確かイチバーンメの村で病床に伏せていた母親は20代半ばくらいだったはずだ。年齢が合わないんじゃないか……?
「失礼だが、あなたは本当にイチバーンメの村のライラなのか?」
俺は思わずそう問い質すのであった。
ライラ発見なのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。