43話 新井慎一の過酷な運命です。
【毎日昼の12時に更新します】
この作品には以降のストックがありません。
そのため書き上げてからの投稿となるので一日一回の更新となります。
すみませんが、よろしくお願いいたします。
この物語は毎話毎話が短いです。
それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。
……決して、私の手抜きではありません。
「今からもこれからも女性にほとんど縁がない男性?
それが新井なのか?」
わかったかのようなわからないかのような回答が恵ちゃんから寄せられた。
小声で話をする俺たちの会話は新井にはわからないようだ。
それにイヤフォンで音楽聴いているし。
「はい。新井慎一さんはこれから先ずっと一生独身を貫くことになっています。
女性に興味はもちろんあるのですが、奥手で性格が暗いことから女性と親しくなる機会がまったくないからです。
今は高校生なので周りに女性がたくさんいるのでイレギュラー的に会話することはできますが、この先就職した後はほとんど女性と縁がなくなるのです。
もちろん結婚サービスの会員になれば選り好みをしなければ誰かしら相手を見つかる可能性もあるのですが、実は新井さんは……、まあ面食いなのでそれで不可能となってしまうのです。
そういう男性には私の神力もほとんど通じません。なんせ私は子宝の神様ですので、子宝にそもそも縁がない男性には無力に近いのです」
恵ちゃんはここまで一気に言い切った。
なんか衝撃的な運命を俺は知った。
新井の女性に関する運気は片言の会話ができる今が絶頂期で、これから先は下り坂しか待っていないと言うのだ。
しかも澤井さんや河合さんと言ったアイドルグループのメンバーだと紹介されても不思議じゃない美少女には、もう二度と縁がないと言うことになる。
「……なあ、新井。強く生きろよ」
俺は右手を伸ばし新井の肩を叩いた。
すると新井はイヤフォンを外して尋ねてくる。
「どうしたの? 加茂くん?」
「いや。青春時代を大事にしろと言いたいだけだ」
「なんかわかんないけど。ありがとう」
そう言って新井は耳にイヤフォンを詰めて音楽鑑賞を再開した。
俺は急に新井がいいヤツに思えてきた。
せめてこの体験授業の間だけでも、産まれて生きてきた充実感を味あわせてやりたいと心底思ったのだ。
するとそこに澤井さんと河合さんが戻ってきた。
そして新井が窓際に移動すると、三列席の真ん中に澤井さん、通路側に河合さんが座った。
「……二人に頼みたいことがある。
……可能な限り新井と会話をして欲しいんだ」
「変なこと言うのね?
私は新井くんと最低限の会話はするわよ。連絡事項とかあるし」
これは澤井さん。
「おかしなことを頼むのね。
私は必要なら話はするわよ。それ取ってとか、道開けてとか」
これは河合さん。
この二人に悪意はまったくない。
だが用事がなければ口を利かないってのは真実なんだとわかったのであった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。