429話 行方不明少女の捜索なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「あれじゃないですかっ! あそこに光っている草がありますっ」
「ホントね。確かにほのかに光っているわ」
そうだった。
俺たちはさっそくそこに行ってみる。するとそこに群生していたのは”上等な薬草”だったのだ。手に取り鑑定してみると画面が表示され、それが間違いないことも確認できた。
だがそこで見回してみても誰の姿も見つからなかった。薬草を採りに来たライラはここには来なかったんだろうか……。
「――待ってくださいっ。向こうになにかいますよっ!」
メグミが突然に叫んだ。
もしかしてライラを発見したんだろうか?
……だが、違った。茂みがガサガサと揺れ、そこから現れたのは体長3メートルはあるジャイアント・ボアの群れだったのだ。その数、5匹。
「大変。囲まれたわよ」
ロキの声に振り返ると、背後にもジャイアント・ボアが登場した。その数、4匹。
なんとここは凶悪な魔物が多発する場所でもあったようだ。
どうりでライラが行方不明になり、村人たちの捜索隊も諦めて帰ってしまった訳だ。普通の人々にジャイアント・ボアは凶悪過ぎる。
「後方の4匹はロキに頼む。前の5匹のうち、4匹はメグミがやってくれ。俺も1匹担当する!」
俺がそう指示を出すと、メグミのロキも「了解!」との返事をくれた。
「行きますっ。――ほにゃらっ」
「行くわよ。――ほいっ」
なんとも間の抜けた呪文だが、女神たちの神力はこれでいいのだから仕方ない。
そして前方ではジャイアント・ボア目掛けてメグミの指先に雷光の玉が浮かび上がり、それが4つに分かれてボアに遅いかかる。
「「「「ブモモモモッ……!」」」」
4つに分かれた稲妻はそれぞれジャイアント・ボアに激突し、一瞬のうちに黒焦げにするのであった。
そして後方でもボアたちの悲鳴が上がる。きっとロキが炎弾を命中させたのだろう。
そして残る1匹である。仲間たちが瞬殺されたにも関わらず闘争心旺盛で土埃を上げながら俺たちに向かって突進したきた。
……で、でかい。
俺は”戦士の剣”をスルリと抜いて身構えるのだが、参った。……これは正直倒せそうにない。
「ダイキチ。大丈夫ですかっ。手伝いましょうかっ」
「……正直言うと、厳しそうだ。……せめて動きを止めてくれれば」
「仕方ないわね。じゃあ、私が手伝うわ」
自分の仕事をとうに終えたらしいロキがそう発言した。なので俺は「頼む」と返事をする。すると「ほい」と神力を唱える呪文が聞こえた。
そして改めて前方を注視すると突進途中だったジャイアント・ボアが停まった。突然、なにかにせき止められたかのようにぴたりと停止したのだ。
瞬間、土煙が風に運ばれてボアの巨体が改めて俺の前に屹立する。
「麻痺させたわよ。後はよろしくね」
「……ありがとう」
ちょっと情けないと思ったが、俺はロキに素直に礼を言い、そして動きが停まったジャイアント・ボアに向けて剣を振るうのであった。
”戦士の剣”は強力な武具だ。ジャイアント・ボアの固い毛や筋肉にもダメージが入る。だが俺のステータスが足りていないのか深手は与えられない。
「ていっ、ていっ、ていっ……」
俺は懸命に剣を振るう。だが傷は入るのだがジャイアント・ボアが倒れる気配がまったくない。
「ダイキチっ。頑張ってくださいっ」
「……もう、まだなの?」
メグミの応援とロキのため息が同時に俺に届くのであった。
ジャイアント・ボアと遭遇したのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。