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425/514

425話 ローカルイベントの約束事なのです。

基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 村長は口ひげを蓄えた小太りの中年男性だった。執務机に向かっているでもなく、ただ部屋に突っ立っていた。

 まあ、これも仕様だ。RPGゲームのノンプレイヤーキャラクター、つまりNPCはその居場所から基本的には動かない。

 物語に重要な役割があるNPCは別だが、こんな田舎村のローカルキャラはまず間違いなく移動しない。




「これは勇者様。よくぞイチバーンメの村へいらっしゃいました。……なんと使徒様もいらっしゃるとは光栄です」




 両手を広げ歓迎してくれる村長。そして勧められるまま俺たち3人はソファへと腰掛けるのであった。

 そして俺は単刀直入に質問するのであった。




「村長。今、この村で起きている問題を教えてくれ」




 すると村長は目を瞑った。どうやら思い出しているようだ。そしてしばらくすると目を開き発言するのであった。




「勇者様たちが解決してくださるのですね。それは助かります。


 まず王都へ向かう街道に魔物が時折出現します。なので行商人が村に来られないので困っています。そして村に嫁の成り手が少ないので困っています。


 ……後、村の少女であるライラが昨日から薬草採りにこの裏の山に向かったまま帰って来ません。魔物も出る山なので心配しています」




 薬草採りのライラが行方不明の件を聞いてメグミが、ハッとした表情になる。これで病気の母親から得られなかった少女の名前と行方不明になった場所が判明したことになる。




 そうなのだ。

 住民ひとりひとりに尋ねても不確かな情報しか得られないが、村長ならば今、村で発生している問題点を確実に教えてくれることが多いのだ。

 これはスピリット・クエストの常識であった。




 情報を得た俺たちは村長宅を辞去した。もちろん困りごとは全部請け負うつもりだ。じゃないとせっかくのRPGゲームの楽しみが味わえないからな。




「依頼事が3つね。1つ目は街道に出現する魔物の退治。2つ目は村に嫁が足りないこと。3つ目がライラの捜索……。こんなにいっぱい引き受けちゃって、どうするのよ」




 ロキが不満そうに言う。確かにいきなり、いわゆる”おつかいイベント”が3つもあるとは思わなかったのは事実だ。

 だが、せっかくのRPGゲームなのだ。思いっきり楽しみたいのである。




「1つ目はもちろんライラちゃんの救出ですよねっ。昨日から行方不明なんですっ。魔物も出るって話なので、急ぎましょうっ」




 そう言って駆け出そうとするメグミの襟首を俺は掴んだ。




「ちょ、ちょっと、なにをするんですかっ。ダイキチっ。事は急ぐんですよっ」




「まあ、待て。その件込みで説明しておくことがある」




 俺はメグミとロキを引き連れて広場の隅に行く。そこには切り株のベンチがあるからだ。そして2人を座らせた。

 メグミはなにか言いたそうだが、とにかく落ち着かせる。




「いいか。基本的にだがRPGゲームのイベントはどれから手を付けてもいい場合が多い。特に物語全体に関わらないローカルなイベントの場合はそうだ」




「ライラちゃんはどうなるんですかっ? 急がないと大変だと思いますっ」




「まあ、待て。今、急いで助けに行っても、残りのイベントを片付けてから探しに行っても結果は変わらないんだ」




 俺がそう説明するとメグミはきょとんとした顔になる。まだピンと来ないようだが、ロキは納得したようだ。




「ああ、そういうことね。これはあくまでゲームなのでプレイヤーがやりたい順番からイベントを片付けられるってことね」




「……そうでしたっ。ここはゲーム世界でしたっ。……つまりライラちゃんはいつ助けに行っても無事なんですねっ」




「そう思うぞ。こんな田舎の村のローカルイベントで一刻を争うような展開はあり得ないからな」




 俺は過去のプレイしたRPGゲームのローカルイベントを例に出して説明した。迷子を探すイベントや落とし物を探すイベントなどだ。そしてそれはゲーム全体には関係ないことから、好きなときに行えばいいし、無視してもゲームが無事に続けられることを伝えるのであった。




「納得しましたっ。……じゃあダイキチはどれから手を付けるんですかっ?」




「そうだな。俺は嫁さがしからやろうと思う」




 そしてなぜそれを選んだのかをメグミとロキに説明するのであった。


ローカルイベントは好きにやればいいのです。(`・ω・´)∩


 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。


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