417話 ラスボスの可能性なのです。
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「ところで俺たちはロールプレイングに則って自分たちをダイキチ、メグミと呼んでいるんだ。だから呂姫ちゃんのこともロキと呼ぶぞ」
「構わないわよ。その方がそれっぽいしね。……私の役割は勇者ダイキチと仲間に精霊からのメッセージ、つまり魔王を倒す役目があることを伝えればお役御免だったから。なので後は着いていくわ」
どうやらロキは俺たちといっしょに冒険をしたいらしい。
まあ、女神であるロキがいればパーティの戦力はかなりアップする。冒険もよりしやすくなるだろう。
……うん? 待てよ。
「ちょっと待て。いっしょに冒険するのはいいんだが、その前に確認したいことがある」
「なにかしら?」
「ロキのステータスを確認したい」
俺はロキに自分のステータスを確認できることを伝えた。俺が『ダイキチ:人族の勇者』で、メグミが『メグミ:子宝の女神』であったことだ。
そして精霊が統べる神なきはずのこの世界でなぜか神が存在してしまっていることもだ。
「なるほどね。……じゃあダイキチ、お願いできるかしら」
「ああ、わかった。触るぞ」
俺は触れる許可を取る。なんせ相手はナイスバディの金髪美少女だからな。セクハラ扱いはされたくない。
そして俺はロキの頭に手を乗せた。するとステータスが表示された。
――『ロキ:精霊の使徒を僭称する邪神』
俺はちょっと狼狽えた。正直に伝えていいのか一瞬迷ったからだ。だがここで嘘をついても良いことなんてひとつもない。
俺はロキとメグミを見る。2人とも期待に満ちた目つきを俺を見ていた。
「……まあ、……神であることは間違いない。ただ”精霊の使徒を僭称する邪神”と出たぞ」
「……ふうん。まあ、間違ってはないわね。私は別に精霊の使徒になったつもりはなくて、ただ役割として演じただけだしね」
「……でも、なんかヤバそうですっ。悪役っぽいですよっ」
そうなのだ。なんせ”精霊の使徒を僭称する邪神”だぞ。これって精霊の使徒のふりをして人々を騙す邪神ってことじゃねーのか?
「ロキ。……お前がラスボスだったんだな」
「はっ! ……言われてみればラスボスの設定そのものですねっ」
俺とメグミは身構えた。いつでも戦えるように俺は”旅人の剣”を抜いて、メグミはいつでも神力が使えるように構えたのだ。
「ちょ、ちょっと待って。……私は敵じゃないわよ。……しかもまだはじまりの村にさえ入ってないんでしょ? いくらなんでもラスボスがこの時点で出現する訳がないじゃないのよ」
ロキは必死になって両手を振る。その表情に嘘は感じられない。
俺とメグミは互いに顔を見合わせた。そして互いの目を見て意志を確認し、頷き合う。
「わかった。……確かにこの時点でラスボスが出ることはゲームバランス無茶苦茶なこの世界でも、さすがにないだろう」
「そうですねっ。……それに攻撃の意思があったとしたら、とうに仕掛けているはずですしっ」
俺たちが信じたことでロキはホッとした表情になる。
そして俺たちはミニ神殿、つまり精霊の祠を後にするのであった。
ロキにラスボス疑惑なのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。