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415/513

415話 最弱相手に苦戦なのです。

基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

「こっちの神力もゲームバランスが崩れているな」




「気にしませんっ。確実に倒すには強い神力がぴったりなのですっ」




 聞けばこの神力は一日中使いまくっても疲労などしないとのことだ。どうやらMPの消費といった概念もこの世界にはないのがわかる。

 つまりメグミといれば、俺はなにもしなくてもほぼ無敵ということになるのだ。




「あ、銀貨が出ましたよ」




 メグミが指差す場所に銀貨が大量に落ちていた。ベーアの死骸はすぐに光の粒となって消えてしまっているので地面に報酬の銀貨だけが落ちていることになる。

 俺とメグミは手分けして銀貨を拾う。ずいぶん多いと思って数えてみると2000枚近くあった。ベーア、お前、ホントに序盤に出る魔物か……?




 まだこの世界での通貨の価値がわからないので、この2000枚が大金である保証はないのだが、これだけの銀貨で宿に泊まることもできないという世界観ではないだろう。




 それから俺たちは祠への旅を再開した。

 途中、魔物と出くわす。今度はまともな相手だった。いちばん最初に登場したスライムだったのだ。その数2匹。




「なあ、俺に戦わせてくれないか? 1匹だけでいいからさ」




「いいですよっ。じゃあ、私は1匹を先に倒しちゃいますねっ。――ほにゃら」




 メグミは右手を上げた。すると神力が発動して1匹のスライムが消え去った。メグミ曰く神力の初歩の初歩のものだ。スライム相手ではこれで十分なのは間違いない。




 で、俺だ。

 俺は初期装備である”旅人の剣”をスルリと抜くとスライムに向かって突進した。そして間合いに入ったときに、エイッと切りつけた。




「うわっ。……手応えがないぞ」




 そうなのだ。

 スライムはそのブヨブヨの形状から切りにくいだろうなとは思ったのだが、ここまで切りづらいとは思わなかった。

 力一杯切りつけて剣の半分は刺さったのにブヨンと押し返して剣が体内から排出されてしまったのだ。




「でもダメージはあるみたいですよっ。形が元に戻っていませんっ」




「……お。少しはダメージ入ったんだな」




 言われて見るとスライムの形に変化があった。俺が切りつけた部分がわずかに凹んでいるのだ。なのできっとこれをなんども繰り返せば倒せるに違いない。




 ――そして10分が経過した。

 俺はハアハアと肩で息をしている。へとへとだ。だがスライムも満身創痍だ。俺がなんども剣を振るってダメージを与えたことでスライムはスプーンでグチャグチャにされたゼリーみたいになっている。




 そして俺もダメージを受けた。スライムの攻撃方法は単純だ。ただ跳ねてぶつかってくるだけ。固い身体ではないので、それほどのダメージは受けない。ただ空気をパンパンに入れたバスケットボールを顔面にぶつけられた程度だ。まあ、痛いけどな。




「エイッ……!」




 俺は真っ直ぐに振りかぶった”旅人の剣”を振り下ろした。するとスライムの肉体の真ん中にヒットした。手応え十分だ。

 そしてスライムは光の粒に変化して消え去るのであった。残ったのは2枚の銀貨だけだ。




「おめでとうございますっ。ダイキチっ。やりましたねっ」




「ああ。……だが、もういいや。次からはメグミに頼む」




 そうなのだ。

 俺は疲労困憊だった。10分も重い剣を振り回し続けたことで腕がパンパンになってしまってまともに振り上げることもできないくらいだ。

 なので俺は剣を地面に刺して体重を預けて立っている状態なのだ。




「……やっぱりこの世界のゲームバランスは最悪だな。最弱のスライム相手にこんな苦戦するようじゃ冒険なんて続けられないぞ」




「安心してくださいっ。そのために私がいるのかもしれませんっ」




 なるほど。

 RPGゲームの基本と言えばパーティだ。仲間と協力して冒険を進めるのが定番なのだ。そのことを考えるとメグミが言うようにパーティに強力な仲間がいれば確かに問題はない。



「……う~ん。今ひとつ納得がいかないが、まあ、そういうことにするか」




 俺は弱い。だがメグミと言う女神が仲間なのだ。そういうことで手を打つことにしよう。

スライム相手でも大変なのです。(`・ω・´)∩


 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。


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