41話 女難です。
【毎日昼の12時に更新します】
この作品には以降のストックがありません。
そのため書き上げてからの投稿となるので一日一回の更新となります。
すみませんが、よろしくお願いいたします。
この物語は毎話毎話が短いです。
それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。
……決して、私の手抜きではありません。
……きっと。
「私たち、まだなにもしていませんよ?」
「そうですよ。先生。これはまだスキンシップの段階です」
澤井さんと河合さんが、ちょっと拗ねたような声を出して若杉先生にそう答える。
だが俺の腕には澤井さんのその胸の柔らかさとか甘い髪の香りで頭がクラクラしそうだ。
そしてそれは逆側に座る河合さんも同じだ。
「その抱きつき方が生徒同士では許されない不純異性交遊なんです。
すぐに加茂くんから離れなさい」
先生のその言葉に二人は渋々従う。
そして俺の両腕は開放されたのであった。
見るとこの行為の原因と思われる恵ちゃんはまだ下手な口笛を吹いていた。
さあ、ここで恵ちゃんになにを言おうか。
俺がそう思ったときだった。
「……まったくなってないわ。するならこうはしなくちゃダメよ」
若杉先生がそう謎の言葉を告げた。
そしてツカツカと通路から俺の前までやって来ると俺の首に両手を回し、体を捻り俺の膝の上にお尻を乗せてきたのだ。
そして甘い声を出して先生は言う。
「これがこういう場合の甘え方よ。ちなみにこれは生徒同士の不純異性交遊ではないわよ。
……ねえ、加茂くん。年上の女は嫌い?」
「わ、若杉先生。な、な、な、なにやってるんですかっ!?」
俺は耳元で甘い声で囁かれてしまったので目を白黒させてしまう。
「先生、ズルいですっ。私たちだってしたいのにっ」
河合さんが抗議の声を上げた。
見ると澤井さんも同意見のようだ。
……ど、どうすればいいんだっ?
俺は先生の吐息が耳にかかるのと、柔らかい胸を押し付けられているのと、同じく柔らかいお尻が膝に乗っていることで抵抗が一切できずに額から滝のように汗を流すばかりだ。
更に言えば澤井さんも河合さんも俺の腕に再びしがみついて俺の動きを封じている。
「め、恵ちゃん。な、なんとかして」
俺は助けを恵ちゃんに求めた。
だが恵ちゃんはどこ吹く風と言った表情でそっぽを向いている。
なんかいろんな意味で万事休すだ。
そう観念したときだった。
「先生。なにしているんですか?」
この場に似合わぬ落ち着いた声が響いた。
新井の声だった。
トイレに行っていた新井が戻ってきたのだ。
「あら? 私、なにをしていたのかしら?」
「……そうね。私も知らない間に加茂くんの腕を取っていたわ」
「あれ? 私どうしたんだろ?」
若杉先生と澤井さんと河合さんが、いきなり夢から覚めたかのように慌てて俺から離れた。
「チッ……!」
見ると向かいの席の恵ちゃんが盛大に舌打ちをしているのが見えたのだった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。