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404/512

404話 流れるプールでの密着なのです。

基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 そして俺たちは用意してきた浮き輪やビーチボールを膨らませ、流れるプールへと入る。混み合っているのだ。なのでもちろん飛び込んだりはしない。

 ちゃんとマナー通りに出入り用の金属製のはしごから順番に入るのであった。




 流れは緩やかだが立ち止まるには、水流はそれなりに踏ん張らないといけないくらいの強さがあった。




「はわわっ。……流されちゃいますっ。でも楽しいですっ」




 そう言った恵ちゃんは浮き輪の穴に身体を通して両手で浮き輪を抑えている。足は届くのだがダランとさせて流れに乗っている。




「まったく神子恵は、ホントにお子ちゃまね」




 そう言った呂姫ちゃんはビーチボールを胸元に抱えて顎を乗せて浮いている。俺からすれば、どちらも似たような者じゃないかと思うのだが、どうやら呂姫ちゃん基準では大人の女はビーチボールらしい。

 見ると新井慎一が流される呂姫ちゃんの前に位置して流れに沿って歩いている。どうやら呂姫ちゃんの進路の露払いを命じられているようだ。その甲斐あってか、立ち進む新井を他の客たちが避けているので呂姫ちゃんに激突する人は誰もいないようだ。




 そして澤井さんは浮き輪などを持っていないが、流れに背を預けるように仰向けで上半身は水面上に下半身は水中にした姿勢でときおり足で水底を軽く蹴りながら身を任せている。

 すると決して大きくはないが形のよい胸が水面から浮上した状態になる訳で、俺は、おおっ、と声を出さずに感激したものの、直視していると誰かにその行為が見つかりそうになるので、そっぽを向いて誤魔化すのであった。




 そっぽを向いた先には河合さんがいた。

 河合さんも澤井さんとまったく同じ姿勢で水に身体を預けていた。するともちろん、そのたわわが水面から浮上している。

 実に豪華だ。

 豊かな黄色いビキニに下半分を覆われた見事な双丘が水から屹立している。柔らかそうなそれは、指でつつくときっとプルルンと揺れるんだろうな、なんて想像していたが、やはりこちらも凝視していると変態扱いされかねないので、あきらめて違う方角を見るのであった。




 そして俺も流れるプールを楽しむことにした。浮き輪やビーチボールは持っていないので流されるままというわけにはいかないが、背を流れに押されるままに軽く跳ねながらゆっくりと進んでいく。

 これが意外と悪くない。なんか楽しい気分になってくる。

 そんなことをして2周くらいしたときだった。




 俺の背にポスンと誰かがぶつかった。

 まあ、それはいい。なんと言っても混み合っているプールなのだ。ぶつかってしまうことくらいあるだろう。

 だが、その後が違った。俺にぶつかった誰かが俺の背後から両腕を回して抱きついてきたのだ。

 抱きついてきた腕は真っ白で細い華奢な手だった。女性の手なのは間違いないだろう。




「……えと、ちょっと」




 俺は困惑しながら後ろを振り返る。するとそこにいたのは澤井遙香さんだった。長い髪を後ろで纏めている。

 ちなみにだが、この市民プールでは水泳帽は必須ではない。被らなくても問題はないのだが、澤井さんはポニーテールにした髪の尻尾をくるくると纏めて邪魔にならないようにしていたのだ。

 だが、大事なのはそこじゃない。

 澤井さんは俺を見ると微笑を浮かべた。その頬は心なしかやや朱色に染まっている。




「……やっと、ふたりきりになれた」




 そう言って澤井さんは俺をギュっと力を込めて抱きしめたのだ。すると当然のことが起こる。澤井さんの形良い双丘が俺の背中に押し付けられてしまっているのだ。

 ……背中に感じられる柔らかさ。

 澤井さんの胸は大きい方じゃない。だがそれでもクニュとした弾力はしっかり感じられるのだ。

 俺の意識は背に集中してしまう。そして不本意ながら下半身が反応してしまいそうになってしまう。




「……ちょ、ちょっと。澤井さん」




 離れて欲しくて俺は身を捩る。

 澤井さんは美少女だし、それに気持ちいいし、俺の性的にはなにも不満はない。いや、満ち足りている。

 だが、俺は理性を振り絞って抵抗したのだ。




 しかし澤井さんはどうやら本気のようだ。

 身を捩る俺に更に密着して胸を力いっぱい押し付けてくるのだ。俺は本気でどうにかなってしまいそうになった。

 両手で澤井さんの細腕を掴んで振りほどくのは簡単だ。どう考えても俺の方が力があるからな。だがか弱い女の子に力ずくで抵抗するのは、やはり遠慮してしまう。それは暴力と同じだからだ。




「澤井さん。みんなが見てるよ。離れてよ……」




 俺はなるべく目だぬように小声でそう叫ぶ。だが、澤井さんは、いやいやをするかのように首を左右に振って俺との密着を諦めない。




 ――そんなときだった。




 俺の右側を浮き輪が通過した。

 それはあからさまにそっぽを向いている恵ちゃんだったのだ。


澤井さんに抱きつかれてしまったのです。(`・ω・´)∩


 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。


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