401話 真夏のプールのお誘いなのです。
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「ん? ……そう言えば臥留子ちゃんと秀子ちゃんから連絡は?」
「そうでしたっ。今確認しますっ」
そう言って恵ちゃんは自分のスマホを手にしてチェックした。だが首を左右に振る。
「……ありません。やっぱりふたりともまったくスマホをチェックしていないのだと思いますっ。……あれ? 澤井遙香さんから連絡が来ていますっ」
スマホをチェックしていた恵ちゃんがそう声を上げた。クラスメートの澤井さんからSNSに連絡が来ていたとのことだ。
「なんて書いてあるんだ?」
そう言いながら、俺も机の引き出しに仕舞っていた自分のスマホを取り出してSNSをチェックする。すると確かに澤井さんからのメッセージが書き込まれていた。
「プールか」
「そうですねっ。夏ですし、行ってみたいですねっ」
「まあ、特に予定もないし、いいんじゃないか」
澤井さんからの誘いは明日、隣駅の市民プールにみんなで行こうって内容だった。なので俺と恵ちゃんは参加するとの内容を書き込む。
しばらくして再確認してみると、学級委員の河合香菜さんと同じく同級生の新井慎一も参加する表明をしていた。……まあ、新井はどうでもいいんだがな。
そしてしばらく時をおいて見てみる。
「お。呂姫ちゃんも来るみたいだな」
「呂姫ちゃんは女神たち以外のイベントにはあまり参加しないので珍しいですっ」
「……新井が来るからか?」
「……かもしれませんねっ」
そうなのだ。
呂姫ちゃんは金髪碧眼でグラマラスボディの美少女中の美少女なのだが、なぜか新井慎一を気に入っている。本人曰く、新井の雰囲気や容姿のあまりにも平凡中の平凡なのが珍しいかららしいのだが……。
「他の女神たちの書き込みがありませんねっ」
「まあ、臥留子ちゃんと秀子ちゃんはそもそも音信不通だし、集子ちゃんは予定が合わないのかもしれないな」
そうして俺たちは買い物をしたり夏休みの宿題をしたりしてその日を過ごすのであった。ちなみに水着は俺は元々持っているので買う必要がない。聞けば恵ちゃんも持っているとのことだ。
こうして日が暮れて行くのであった。
■
翌朝。快晴だった。
プールに行くので晴れは歓迎だが、今日も暑くなりそうだ。せめて冷たいプールの中だけでものんびりと涼みたいものである。
そして俺と恵ちゃんは水着やバスタオルなどが入ったプールセットを持って神武寮を出た。以前は俺は自転車で駅まで移動していたが、最近止めた。その理由が自転車が1台しかないからだ。まさかこのご時世に2人乗りなんてして警察のお世話になりたくないので、2人のときは、こうして徒歩で駅まで向かうことにしているのだ。
「……まだこんな時間なのに、この暑さですっ。今年の夏も暑いですねっ」
すでに太陽は高く昇り、そのギラギラとした陽光をこれでもかと地上に放っている。
「ああ。昔はもっと平均気温が低くて過ごしやすい夏だったと聞いていたが、もうここ何年もこんな暑さなのでいい加減慣れたな」
そう答えた俺は時間を見る。すると午前8時過ぎ。この時間でこの暑さだと今日も30度を軽く超える気温になりそうだ。
そんなこんなの会話をしていたら、俺と恵ちゃんは駅に到着した。そして各駅停車を待ち、次の駅に降りるのであった。
駅を降りると待ち合わせの駅前ベンチの木陰で澤井さんが手を振っていた。その横には河合さんの姿もある。そして少し離れたベンチには新井の姿もあった。どうやら俺と恵ちゃんはやや遅れたようだ。
「すみませんっ。遅れましたかっ?」
「大丈夫よ。私たちもついさっき来たばかりだわ」
真っ白のワンピースにツバの広い麦わら帽子を被り紐サンダルを履いているという夏の美少女の代名詞のような格好をした澤井遙香さんが笑顔でそう答える。
しかし元々美人の澤井さんだ。なにを着ても似合っているな。俺はそんなことを思うのであった。
プールに誘われたのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。