40話 不純異性交遊です。
【毎日昼の12時に更新します】
この作品には以降のストックがありません。
そのため書き上げてからの投稿となるので一日一回の更新となります。
すみませんが、よろしくお願いいたします。
この物語は毎話毎話が短いです。
それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。
……決して、私の手抜きではありません。
……きっと。
トランプゲームが終わって一息ついた頃だった。
ちなみにだが、俺たちはそれぞれ新幹線の三列シートに座っている。
会話をしたりゲームをしたりするために前方の三列を回転させて、
向かい合わせの六席を五人で使っている訳だ。
「僕はちょっとトイレに」
そう言って孤独そうな雰囲気の少年、新井慎一が席を立った。
そしてそのときだった。
俺の隣に座っていた恵ちゃんが新井が座っていた席に移動した。
するとそれを合図にしたかのように髪の長い澤井遙香さんと元気なショートヘアの河合花菜さんが俺の両隣に座ったのだ。
これはいわゆる両手に花状態なのだが、俺にはなにがなんだかわからない。
「な、な、なんだっ?」
そんな間抜けな声しか俺は出せないでいた。
「邪魔者は消えたわ。やっと二人きりになれる……」
澤井さんが熱を持ったかのような視線を俺に向けてきた。
「二人きりになれたのは私の方よ。他の人は邪魔ね」
河合さんがその大きな瞳で瞬きをして上目遣いで俺を見上げる。
「大吉さん。あなたのババ抜きの遊び方には痺れたわ。
……誰もがあからさまにババだとわかっている選びやすいようにぴょこんと伸ばした一枚をわざわざ選択する男らしさに……。
私、メロメロに参ってしまうかと思ったわ。……潔くてカッコいいわ」
澤井さんが謎言葉を口にして俺にしなだれかかって来る。
「私もよ。……うわあ、しまった。まさかこれがババだとは思わなかったっ! って叫んだよね?
あんなに自分の意志をまっすぐに伝えてくる思い切りの良さって男らしいよね?
……しかも、相手の神子さんに、騙された。まさかそれがババとは思わなかったなんて言い切る男はそうそういないよ」
河合さんが訳のわからん言葉を吐いてくる。
「しかも、……このままじゃよりによって恵ちゃんに負けちゃうぞ、って言葉、あり?」
「このままじゃ罰ゲームで飲み物全員におごる羽目になっちまうって、言葉に胸がキュンとしちゃったじゃない?」
トロンとした目で二人の美少女が左右から俺の腕を胸に抱いて見上げてくるのだ。
……おかしいぞ?
以前もこういう展開はあった。
俺は入学式の日の保健室でのやり取りを俺は思い出す。
さては……。
俺は正面に座る恵ちゃんを見る。
するとヤツはあからさまに慌てた様子で俺からの視線から逃れ、そっぽを向いて下手な口笛を吹き出した。
「あ、あのなあ……」
俺がそう言ったときだった。
「二人とも。なにをしているの? 生徒同士の不純異性交遊を先生は許しませんよ」
そんな声が上から降ってきたので俺は見上げた。
するとそこには我らが担任の若杉先生がタイトスカートのまぶしいスーツ姿で両腕を組んだ仁王立ちでいるのが見えたのだ。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」連載中
も、よろしくお願いいたします。




