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399/515

399話 神というチートの存在なのです。

基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 左右に曲がりながらも緩やかに登っていく坂道。土の道で道の外には短い草が生えているが、道自体はよく整備された土の道だ。細かい石は落ちているが、歩行の邪魔になるような大きな石は落ちていない。




 そして魔物もさっきのスライム以来、登場していない。もしかしたらこのまま出会わずに到着できるんじゃないかと思い始めた、そんなときだった。俺は無意識に頭に手を乗せた。かゆみでも感じたんだろう。




「……お。ステータスがわかるぞ」




 そうなのだ。

 どうやら頭に手を乗せると、その対象のステータスがわかるようだ。だが、最低限の情報だった。

 俺の場合は『ダイキチ:人族の勇者』とだけの表示だったのだ。




「どうしたんですかっ? なにがわかるんですかっ?」




「どうやら俺が手を乗せたらわかるようだ。ステータス……。ま、その人の情報だな」




「じゃあ、私も調べてくださいっ」




 そう言ってメグミは頭を俺に向けてきた。なので俺は手をその頭にそっと乗せる。

 すると俺の頭の中に文字情報が浮かび上がる。




 ――『メグミ:子宝の女神』――




 ……なんてことだ。精霊が統べる世界に神が爆誕してしまっていたのだ。これはものすごく大変なチートなんじゃないだろうか……。




「子宝の女神って出たぞ。……このスピクエの世界では神は存在しないんだ。その代わりに精霊が統べている設定なんだがな」




 そうなのだ。

 この世界には存在しない人知を超えた存在がどう扱われるのか俺にもまったく予想がつかない。




「よくわかりませんが、精霊が神の役割を果たしているってことですねっ」




「ああ。だが、ここにお前と言う女神が存在しちまってるんだ。……いったいどうなるんだ? これ?」




 すると、メグミはちょっと考え顔になったが、それも一瞬だった。あっけらかんとした表情になるとこうのたまったのだ。




「まあ、いいんじゃないですかっ? 存在しちゃったものは存在しちゃったのですっ」




 ……確かに言う通りだ。

 もし、存在を許さないのであれば、このRPGゲーム世界のシステムが女神のステータスを拒否しているはずだ。

 それがなされないのであれば、……まあ、無問題だろうな。




 それからも俺とメグミは九十九折の山道を登り続ける。途中で開けた場所があったので展望を楽しむ。

 そこからは麓に広がる集落が小さく見えた。結構登って来たようで、もはやマッチ箱よりも小さく見えている。

 あの集落は俺たちが生まれ育ったという設定になっている、いわゆる”始まりの村”である。と、言ってもまだ中に入っていないので、どういう人たちが暮らしてるかわからんのだがな。




「ああっ。また魔物が登場しましたよっ」




 メグミの声に振り返ると、そこには巨大な魔物たちの群れがあった。背丈は俺よりも大きくて全長は3メートルはある、イノシシの魔物が5匹もいたのだ。

 浮かび上がる表示にはジャアント・ボアとある。




「げげっ! これちょっとゲームバランスが崩れてねえか!」




 そうなのだ。

 この手の大型で凶暴な魔物はゲーム中盤になってやっと登場する魔物だ。しかも数も多い。これは絶対に初見殺しだろうが。

 俺は仕方なく”旅人の剣”を抜いて構える。……が、正直倒せる気がしない。するのはぶっ飛ばされて瞬殺されてしまう予感だけだ。




「まあ、見ててくださいっ。――ほにゃらっ!」




 右手を天高く構えたメグミの指先からいきなり雷光の玉が浮かび上がった。それを見てジャイアント・ボアたちは危機を感じたのか、ブモモッと唸り声を上げながら突進してくる。連携もなにもあったもんじゃない。我勝ちとの状態もまま仲間の身体と衝突しながらもまっすぐに突っ込んで来るのだ。




「……ちょ、ちょっと、おいっ!」




 情けないと思ったが俺は腰が引けてしまった。正直あの大きさは怖い。そして背後を振り返る。逃げ場所を探したのだ。だが、そんな都合がいい場所はない。あるのは今まで登ってきた坂道だけだ。




「大丈夫ですっ。行きますよ」




 その言葉が合図だったのか、メグミの指先から雷光が離れた。それは5つに分かれた稲妻となって、それぞれのボアたちに瞬く間に襲いかかる。

 衝突する瞬間、ドッカーン! と耳を聾する爆発音が鳴り響いた。見るとボアたちはまっ黒焦げになって横にドウッと倒れるのであった。

神はチートなのです。(`・ω・´)∩


 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。

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