395話 宿題に取り組むタイプの違いなのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
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見ると確かに卵が明滅していた。紫色なのは同じだが濃さが違う。もっと毒々しい紫になっているのだ。そして明滅時間が変化していた。光る時間が長いのだった。
「……いったい、なんなんだろうな。この卵」
「そうですねっ。害はないみたいですが不気味ですっ」
そうなのだ。確かに害はない。ただ光っているだけで触れてみても熱くないので、燃えるとか爆発するとかはなさそうだ。
だが、恵ちゃんが言う通り不気味なのだ。
なんの卵かも混入させた者の目的もわからないし、この卵が俺たちになにをもたらすのかもわからないのだ。
だがやがて、卵の明滅は終わった。そして見た目にはなんの変化もなかった。
■
翌朝である。
俺と恵ちゃんは食堂で朝食を済ませ、自室へと戻った。
俺はすぐにでもゲーミングPCでゲームをプレイするつもりだったのだが、恵ちゃんが座卓に宿題セット一式を並べ始めたので、俺も仕方なく付き合うことにする。
なんのかんのと言っても恵ちゃんは意外と真面目なのだ。
「……気がつけば夏休みの宿題も半分以上終わってるな」
「そうですねっ。毎日コツコツが大事なのですっ」
「……俺は宿題は夏休みが終わる頃まで一切手を付けないで、後半一気にやるタイプなんだ」
「スゴイですねっ。それで終わらせられるんでしょうかっ?」
「……いや。いつも半分以下しか終わらないで提出していた」
そうなのだ。
俺は勉強が嫌いだ。なので宿題のことは忘れて毎日毎日を遊び呆けて、残り日数数日になると嫌々始めるのだが、いつも終わらせることができないのだ。
なので。……今年は人生で初めて夏休みの宿題を終わらせることができそうだ。もちろん恵ちゃんのお陰だな。
「ああっ。卵がまた光ってますよっ」
言われて見ると机の上に安置してある青い稲妻模様の卵がまたまた紫色の明滅していた。
「……なんか光る回数が増えている感じがしないか?」
「そうですねっ。今まで一日一回だったのが、数時間置きになってますっ」
そうなのだ。
気の所為じゃなくて、明らかに光る間隔が狭くなっている。……これがなにを意味するのか。俺も恵ちゃんもわからなかった。
そして、そう言えば、と言って恵ちゃんは自分のスマホをチェックした。
「駄目ですね。……臥留子ちゃんからも秀子ちゃんからも連絡が来てませんっ」
「2人は全然スマホをチェックしてないってことだな」
どうやら臥留子ちゃんも秀子ちゃんも自分が使うとき以外は、スマホのチェックをしない習慣らしい。……もしかしたら電源すら入れてないのかもな。
恵ちゃんが2人に電話をかけてみるが、やはり電源すら入ってない様子だったので、やっぱりな、と思うのであった。
「まあ、気にしても仕方ない。そのうち返事が来るだろう」
俺がそう言うと恵ちゃんも納得するのであった。
そして俺は座卓の上から宿題セットを片付けて、ゲーミングPCを用意した。もちろん今日の宿題のノルマが終わったのでゲームをプレイするためだ。
「今日はなんのゲームをするんですかっ?」
「RPGだ。……これはRPGゲームの大作で何十年も前から続いているゲームの最新版なんだ」
「なんだか楽しみですっ。……あれっ? でも、なんか前にプレイしてませんでしたかっ?」
「いや、してないぞ。今まで使っていたPCではぜんぜんスペックが足りていないんだだから動作させてもカクカクとしか動かないし、そのままフリーズする可能性が高いからプレイできないでいたんだ」
「……なんかですが、その会話も以前にしたような記憶がありますよっ。だから新しいパソコンでプレイし始めたような気がしてますっ」
……妙なことを言う。
だから最初、俺は恵ちゃんが勘違いしているんだと思っていたんだ。
卵の様子がおかしいのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。