392話 電話作戦なのです。
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「……駄目ですねっ。電源が入っていませんっ」
恵ちゃんがそう報告する。スピーカーモードなので俺にもアナウンスが聞こえてきたので事情はわかる。
どうも臥留子ちゃんは自分が使わないときはスマホの電源を切っていることが多い。なんのための携帯電話なのかと思うが、そういう性格らしい。
「メールとかSNSで伝えたらどうだ?」
「そうですねっ。じゃあ、ちゃっちゃと送っちゃいますっ」
それから恵ちゃんはスマホでポチポチとメールを作成し送信した。そしてSNSでも同じメッセージを送っている。
ただし全部を文章にすると長いので、卵の件を簡潔に問い合わせただけだ。
「さっき俺をダイキチーナにしてもらったときに聞けばよかったな」
「そうですねっ。でもあのときはお店に問い合わせれば、すべてわかると思っちゃったんですよねっ」
それは俺も同じだった。なので恵ちゃんを責めることはしない。俺も同罪だからな。
「じゃあ、次は集子ちゃんですねっ。電話かけちゃいますっ」
そして少し待つと金尾集子ちゃんが電話に出たのであった。当然スピーカーモードなので俺にも集子ちゃんの声が聞こえてくる。
「――と言う訳なんですっ。卵について心当たりありませんかっ?」
すると、スマホから集子ちゃんが、うむむ、と唸る声が聞こえてくる。
「……知らんのう。確かに神力でやろうと思えばできるが儂じゃないのう」
とのことだった。
卵の件は集子ちゃんは関わってないし、卵の意味もわからないとのことだ。
「う~ん。困りましたねっ」
「仕方ない。次は誰なんだ?」
「次は秀子ちゃんですっ」
そうして恵ちゃんは連絡先から遊戯秀子ちゃんを選択し、通話を選ぶのであった。だが、聞こえてくるのは”電源が入っていない”とのアナウンスだ。
「まさか、秀子ちゃんも電源を切る派だったのか……」
「みたいですねっ。……仕方ないのでメールとSNSで問い合わせますっ」
そして恵ちゃんは臥留子ちゃんのときと同じ内容で送信するのであった。これで女神は全員に問い合わせたことになった。
もっとも臥留子ちゃんと秀子ちゃんは返事待ちだが……。
「あと、念の為っ。アイツにも電話をかけてみますっ」
ん? アイツって誰だ?
そう思ったのだが、恵ちゃんのスマホ画面を見ると眠京太郎の名前が表示されていたのであった。
「眠京太郎の連絡先を知っているのか? いつの間に教えてもらったんだ?」
「教えてもらった訳じゃありませんっ。組合の連絡網で加盟員の連絡先を登録してあるだけですっ」
「組合って。……八百万組合だったか?」
「そうですっ。私たち神様の組合ですっ」
以前、そんなことを聞いたことがあった。確か神様の互助組合ってことだったな。学校で山奥の林間実習に、規則に違反して3名以上の神々が一箇所に集まってしまったことがあった。
恵ちゃんと呂姫ちゃんと臥留子ちゃんだ。
そのときまだ男、いや老人の姿だった集子ちゃんが違約金を勝手に建て替えて、それを脅しに利用して失敗したことを思い出す。
そして呼び出し音が鳴る。
3回、4回、5回と眠京太郎を呼び出している。するとやがて繋がったのであった。
電源切る派もいるのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。