391話 神力で混入させたのです。
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やがて電話を終えた店長さんがレジカウンターに戻って来た。表情を見ると浮かない顔だ。なんか問題でもあったのだろうか……?
「……お待たせしました。メーカーに問い合わせてみたのですが、卵が入っていた報告は今までまったくなかったとのことです」
なるほど。
メーカーが入れた訳ではなかったのか。
「……それでですが、メーカーとしても調べたいので返品交換で対応したいとのことです」
「返品交換ですか? ……えと、在庫はあるんでしょうか?」
俺は尋ねた。注文してからずいぶん待たされた人気製品なのだったからだ。
「……今はありません。新しく届いたら交換となってしまいます」
俺は考えた。
もうPC自体に不具合はない。それに各設定も済ませてしまった。あれを一からやり直すのはちょっと御免だな。
「だったら、交換しないで構いません。このまま使い続けたいと思います。卵も別に困る訳ではないので問題ありません」
「わかりました。ではそのようにお願いします」
俺と恵ちゃんは店長さんに挨拶して店を出たのであった。
■
俺たちは公園を歩いている。さっき臥留子ちゃんにダイキチーナに変身させてもらった公園だ。
そして俺と恵ちゃんはさっきと同じように人目がつかないトイレの建物の裏側に回る。そこで恵ちゃんの神力でダイキチーナから加茂大吉の姿に戻してもらった。
その後、空いていたベンチに2人並んで腰掛けた。
「……ホントになんだったんでしょうねっ? その卵っ」
恵ちゃんが俺が手にしている巾着袋を見て、そう言う。
「……なあ、この卵、誰かの神力ってことはないか?」
俺は自分の思いつきを言ってみた。メーカーに問い合わせてもわからない。だが箱は未開封だったのだ。なので人間ではこの卵の混入はできないはずだ。だとしたら女神たちの誰かの仕業じゃないかと思ったのだ。
「……なるほどっ。私たちのことをよく知っている女神の誰かのいたずらの可能性ですねっ。それは思いつきませんでしたっ」
それから恵ちゃんはスマホを取り出すと連絡先を選ぶ。
基本、恵ちゃんたち女神は電話でやり取りすることが多い。メールやSNSは電話が通じないときにしか使わないようだ。
そして画面を見ると辻上呂姫ちゃんの名前が表示されている。まずは呂姫ちゃんから電話をかけるようだ。
「……あ、もしもしっ。恵ですっ」
どうやら呂姫ちゃんに通じたようだ。そして恵ちゃんは俺がPCを店から持ち帰った経緯と部屋で箱を開けたら巾着袋に入っていた謎の卵のことを説明するのであった。もちろん夜中に紫色に光ったこともだ。
そして最初はスマホを耳に当てて会話していた恵ちゃんだが、側に俺がいて、会話内容が気になっていることに気づいてくれたようで、通話をスピーカーモードに切り替えてくれた。お陰で俺にも呂姫ちゃんの声が聞こててくる。
「私じゃないわよ。……でも、不思議な話ね。確かに神力を使えば未開封の箱に異物を混入させることは可能よ。でも、その目的はわからないわ」
「そうなんですっ。卵の意味がわかりませんっ」
どうやら呂姫ちゃんは無関係のようだ。
だが呂姫ちゃんが言う通り、どうやって混入させたのかはわかったが、その目的がわからないのだ。卵を使って犯人はなにをしたいのかが不明なのだ。
やがて恵ちゃんは呂姫ちゃんにお礼を言って電話を切る。そして画面を覗き込むと山井臥留子ちゃんの名前が表示されている。どうやら今度は臥留子ちゃんに電話をかけるようだ。
どうやら女神が絡んでいるのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。