390話 PCショップで問い合わせなのです。
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卵が変……?
俺は起き上がって机の上を見る。すると卵がぼんやりと紫色に光っている。いや、ゆっくりと明滅しているのがわかった。
俺と恵ちゃんは机の前に立ち、光る卵を見下ろす。
「……いったいなんなんだ、この卵は?」
「わかりませんっ。ですが熱くなったりしていないので爆発とか火災の危険はなさそうですっ」
卵に手を当てた恵ちゃんがそう答える。
やがてしばらく見ていると明滅が止まり、卵は光らなくなった。なので俺たちはしばらく観察を続けたが、その後は変化が現れないので再び就寝することにした。
■
翌朝。
開店時間を待って、俺と恵ちゃんは卵を持って神武商店街へと向かった。もちろんPCショップに問い合わせに行くためだ。
卵は箱から取り出したときに入っていた巾着袋に入れている。
本当はPCの箱ごと持って行った方がいいんだろうけど、かさばるし重い。なので卵だけ持参して店長さんに尋ねてみようと考えたのだ。
だが、店には今のところ入れない。なぜならば俺に今の姿は加茂大吉でダイキチーナではないからだ。
なので俺と恵ちゃんは商店街の一角にある小さな公園にいる。ある人物を待っているのだ。
「……お待たせ……」
やって来たのは山井臥留子ちゃんだった。
朝一番に恵ちゃんに連絡を取ってもらい、わざわざここまで来てもらったのだ。
「悪いな。遠くまで来てもらって」
「……いい。……ちょうど用事あった……」
俺が謝意を示すと別に構わないと言う。なので気にしないことにした。そして俺たちは目につきにくい場所――トイレの建物の裏側に行く。
そこで臥留子ちゃんの神力が振るわれる。
ボフンとした音とともに煙で包まれた俺は気がつくとダイキチーナへと変身しているのであった。
ただしブラをしていないので、このままだとユルンユルンと揺れてしまい大変に注目を浴びてしまうことになる。特にダイキチーナは金髪碧眼の美少女だから余計だ。
「はいっ。これを着てくださいっ」
「おお。ありがと」
俺は恵ちゃんから薄手のジャケットを渡される。それをTシャツの上から羽織る。すると胸は隠される。歩くと多少ユルンユルンとしてしまうが、それでも揺れは見えにくい。大股で歩けば大変なことになるが小幅で歩けば揺れは少なそうだ。
そして臥留子ちゃんと別れた俺と恵ちゃんはPCショップの前へと向うのであった。
そして開店時間になった。
シャッターが開き、店はオープンする。待っていた客は俺たちを入れても5人だった。
そしてその全員が店に入って行く。
俺と恵ちゃんは店長さんを捜す。するとレジカウンターのところでなにやら事務作業をしている姿が見えたのだった。
俺と恵ちゃんが店長さんに近づいて行く。するとそれに気づいたのか店長さんが手元から視線を上げて俺たちを見た。
「ああ、ダイキチーナさんですか。……もしかして昨日お渡したPCになにか不具合でもありましたか?」
昨日の今日なので店長さんはそう思ったようだ。
「いや、不具合ではないのですが……。妙な付属品が入ってまして正体も使い道もわからないのです」
俺は今はダイキチーナの姿なのだ。なので口調には気をつける。まあ、元々店長さんは目上の人なので当然と言えば当然だ。
「……妙な付属品ですか? いったいどんなものでしょう?」
「卵が入っていたのです。ネットで調べてもヒットしないんです。なにかの間違いで混入したんでしょうか?」
俺はそう言って卵が入った巾着袋を店長さんに手渡す。すると店長さんは巾着の紐を緩め卵を取り出した。
「確かに卵ですね。なんの卵かわかりませんし、本物の卵かどうかもわかりませんね」
「その卵ですが、夜中に光ったのです。紫色にぼんやりと……」
「光ったのですか? ……ちょっとメーカーに問い合わせしてみますので待ってもらえますか?」
そう言った店長さんはカウンターの奥にある事務室へと入っていった。そして電話機を手にしてメーカーに問い合わせている。
俺と恵ちゃんはそのまま待つことにしたのであった。
お店で問い合わせたのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。