39話 車内でのゲームです。
【毎日昼の12時に更新します】
この作品には以降のストックがありません。
そのため書き上げてからの投稿となるので一日一回の更新となります。
すみませんが、よろしくお願いいたします。
この物語は毎話毎話が短いです。
それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。
……決して、私の手抜きではありません。
……きっと。
「新幹線って速いですっ。空も飛べそうですっ」
突然に恵ちゃんが叫んだ。
「あはは。神子さんってホントにおもしろいね」
「大丈夫よ。空は飛ばないわ」
河合さんと澤井さんが笑い声を出す。
俺はヒヤヒヤものだったが、
どうにもうまいことに二人には恵ちゃんが天然キャラとして認知してくれている様子だった。
「……でも神子さんの反応って本当に新幹線が知らなかった感じするけどな」
新井が余計なことを言う。
「んな、訳ないだろう? ただはしゃいでいるだけだ。なっ?」
「はう。……そ、そうですっ」
恵ちゃんが俺の思い通りの返事をした。
だがそれには理由がある。
俺が恵ちゃんの手のひらをつねりながらの回答だったからだ。
「ねえ、お腹すいちゃった。お菓子でも食べない?」
しばらくしてのことだった。
河合さんがそう言いながらバッグからお菓子を取り出した。
スナック菓子とかチョコレートとか、クッキーとかである。
「はいっ。食べますっ。食べますっ」
恵ちゃんは大はしゃぎだ。
そして俺たちはそれぞれ持ち寄った菓子を出し合いながら、楽しく会話を進めたのであった。
そして新幹線はどんどん目的地へと近づいている。
「はい、次は神子さんの番」
今度はトランプだった。俺たちはババ抜きをしている。
「今度もいちばんですっ」
「……あー、またうまいことやられた」
「神子さんはすごいわね」
二人の美少女が感嘆する。
確かに恵ちゃんは上手い具合にババを引くこともなく、さっさと上がってしまうのだ。
「今日初めてなんだろ?」
「はいっ。ルールってのを覚えたら簡単でしたっ」
恵ちゃんは得意気だ。
俺はちょっと気になって小声で尋ねた。
「ババ抜きだけじゃなくて、トランプ自体が初めてって言ってたよな?
それにしちゃ勝ちすぎだ。なんかコツでもあるのか?」
俺はさっきから圧倒的な強さでゲームを終えているのに疑問を感じたのだ。
「コツなんてありませんよっ。
ただトランプの裏側が全部見えているだけですっ」
「……な、なんてこった」
……俺は驚きとともに改めてこいつが人外であったことを理解した。
ゲームの基本である相手の手の内が見えないっていう前提が恵ちゃんには通用しないのことがわかったのだ。
「例の神力ってやつか?」
「はいっ。……い、痛いですっ」
楽しげに恵ちゃんが頷いた恵ちゃんが涙目になった。
俺が脳天を叩いたからだ。
「それはインチキって言うんだ。相手のカードを見るな」
「うう。わかりましたっ」
恵ちゃんはそれから俺が言ったとおりに力を使わなくなったようで、
勝つこともあったが負けることも多くなった。
「これこそがゲームだよ」
俺はひとり満悦したのであった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」連載中
も、よろしくお願いいたします。