388話 PCを起動させたのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
画面がゲームのオープニングに切り替わる。すると美麗なグラフィックで背景の山々、街並み、木々などの風景、そして人物や魔物たちが滑らかに動き回る。
「さすがだな。綺麗だし動きもぎこちなさが一切ない」
「確かに綺麗ですっ。……でも今までのパソコンとなにが違うんですかっ?」
身を乗り出して画面を覗き込みながら恵ちゃんが尋ねてきた。
「簡単に言うとCPUとGPUが違うんだ。だからこんなに重い処理をしても大丈夫なんだ」
「……しーぴーゆー? じーぴーゆー? ……???」
カタコトで俺の言った言葉を繰り返す恵ちゃん。見るとまったく理解していないのがわかった。頭の上にくるくる回るクエスチョンマークが見えそうだ。
「……悪かった。えと、もっと簡単に言うと性能が桁違いに違う。プロのスポーツ選手と子供くらい違うと思えばいい」
「なるほど、わかりましたっ。とにかくスゴイってことですねっ」
まあ、その理解で十分だ。
そして俺はそのままそのゲームを新規プレイしてみる。これはRPGゲームの大作で何十年も前から続いているゲームの最新版だ。
実は俺もこのシリーズはプレイしていたのだが、最新版には手を出していなかった。それも俺が今まで使っていたPCではぜんぜんスペックが足りていないからだ。おそらく動作させてもカクカクとしか動かないし、そのままフリーズする可能性が高い。
だが、こうして今プレイできることに感動を覚えている。
「キャラクターを選んでくださいっ、ってありますね? このゲームの主人公ですかっ?」
「ああ、そうだ。俺がプレイする主人公を決めろってことだ」
お決まりの作業だ。
RPGゲームで最初に決めるのは主人公。種族や性別、職業などを決めさせるのだ。
「ま、俺はいつも通り人族で男、そして職業は、やっぱり定番の”勇者”だろうな」
「勇者だとなにか良いことがあるんですかっ?」
「そうだな。……まあ、攻守のバランスが取れているのと、勇者しか使えない技なんかもあるから最強ってことが理由だな」
「なるほどですっ。じゃあ大吉さんは勇者なんですねっ。ぴったりだと思いますっ」
なにがぴったりなのかわからんが、俺は勇者で設定を続けるのであった。
そして、ちょろっとプレイしてみる。
ゲームは定番通り、始まりの村からであった。そこで幼馴染の少女と出会ったり、村の長老から世界の言い伝えを聞いたりした。
そして一段落ついたときに俺はセーブしてゲームを終了した。
「あれっ? 止めちゃうんですかっ? なんか楽しそうな展開になったのにですっ」
「ああ。これはやり始めるときりがないんだ。……動作確認は終わったから、このPCの付属品をチェックしようと思ってな」
そうなのだ。
俺は最低限のモノしか取り出していない。黒い大きな箱にはまだいろいろ入っているのだ。それを確認しようと思ったのだ。
箱にはとにかくいろいろ入っていた。豪華感と特別感を出すためだろう。それはわかる。
「……なになに。ゲーム用のマウスパッドと外付けスピーカーか。あとは豪華マニュアル。……ん? なんだこれ?」
だが黒いビロード製の巾着袋が入っているのを俺は見つけた。手に取るとズシリとして意外と重い。
「それ、なんですかっ?」
「わからん。なんかずっしりとしているぞ。出してみるか」
俺は巾着の紐を緩め中身を取り出すのであった。なんとそれは意外なものだった。なぜこんなものが入っているのか意味がわからないのだ。
新しいPCはスゴイのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。