386話 ダイキチーナとPCと帰宅なのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
それからのことだ。
縁側に横一列で俺たちは座っている。右から順番に言うと眠京太郎。やや離れて集子ちゃん、秀子ちゃん、臥留子ちゃん、俺、恵ちゃん、呂姫ちゃんとなっている。
俺の横に臥留子ちゃんがいてくれて助かる。なので俺は臥留子ちゃんに話しかける。
「俺をダイキチーナにしてくれないか? じゃないとPCを受け取れないんだ」
「ん。……話は聞いている。……じゃ」
臥留子ちゃんが両手を俺に向けた。
するとボフンと音がして俺は白い煙に包まれた。
そして煙が晴れる。
俺は胸元を見下ろした。するとそこには見事なたわわがあった。そしてそこにはらりと落ちる金髪の横髪。
「間違いないな」
「はいっ。見事なままにダイキチーナちゃんですっ」
長かった。ようやく俺はこれでゲーミングPCを受け取れる。思えば臥留子ちゃんは屋敷の玄関脇の狭い部屋にずっといたのだ。それがわかっていれば襖地獄や延々と登りを繰り返す蔵や魔物と戦うゲーセンなんかにも行かずにすんだのだ。
でも、まあ、今こうしてダイキチーナになれたのだから文句は言うまい。
「ありがとう。臥留子ちゃん」
「……うん……別にいい……」
乏しい表情の臥留子ちゃんなのでわかりにくいがお礼を言われてちょっとだけ照れているように感じた。
「じゃあ、私たちは帰るわ」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう色々あったが結果オーライじゃわい」
「さらば」
俺、恵ちゃん、呂姫ちゃん、集子ちゃん、秀子ちゃんは手を振って屋敷を後にした。これから和風庭園を抜けて入口の祠を目指すだけだ。
ちなみに眠京太郎は置きっぱなしだ。まだ落ち込んでいたので放置したのだ。もう害はないので大丈夫だろう。
それから俺たちは無事に祠を出ることができた。
坂道の途中の森にある小さな祠だ。
それから俺と恵ちゃん以外は方角がばらばらだったこともあり、この場で解散することになった。
時刻を見ると午後5時。体感的には数日間過ぎている感じだが、現実の時間はそれほど経過していなかったことになる。
「まだPCショップに間に合うな」
「そうですねっ。じゃあお店に向かいましょう」
そして俺と恵ちゃんは神武商店街へと向かい、目当てのPCショップへと到着した。
ダイキチーナになった俺と恵ちゃんは店内に入る。すると展示品をチェックしていた店長さんと目があった。
「ああ、ダイキチーナさん。例のノートPCですよね? お待ちしておりましたよ」
店長さんは以前のゲームデモプレイのアルバイトの件ですっかりダイキチーナを憶えている。なので話はすんなりと進み、俺は注文していたPCを無事に手にするとことができたのだ。
PC本体はスリムなのだが、受け取った箱はなぜだか異様に大きかった。付属品とかがいろいろあるんだろうか、と思ったが店長さんが説明してくれた。
この手のゲーミングPCは購買者を満足させるため、いろいろアクセサリーや化粧ポーチ、専用付属品が多く含まれるとのことだ。なので箱が大きいのだと案内してくれたのだ。
「……なるほどなあ。豪華セットということか」
「まあ、いいじゃないですかっ。あって困るものが入っている訳じゃないみたいですしっ」
俺と恵ちゃんは店を出て俺の部屋がある神武寮へと向かっていた。
俺の手には豪華ででかいPCの箱。恵ちゃんの手には途中で買った帰ったら食べるアイスクリームが入っている袋。
ちなみに俺は元の姿に戻っている。恵ちゃんが神力で加茂大吉に戻してくれたのだ。女体化は苦手だが元に戻すのは、それほど大変なことではないらしい。
今回はあれこれいろいろあったが、こうして無事に帰れることでハッピーエンドとしよう。
仲良く帰宅なのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。