384話 この世界の崩壊なのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「ご主人様。これでご自分を見るのですにゃん」
柱時計猫から手鏡を受け取った眠京太郎は鏡面を見て、ウググと呻きながら仰け反る。
そして俺たちの方を見るのであった。
「ど、どうしてボクチンが美少女に~!? しかも水着姿だよ~」
「話を聞いてもらうためですっ」
「とにかく臥留子を起こしなさい!」
「ふぉふぉふぉ。じゃないと元の世界へ戻れんのじゃ」
「さあ即実行」
恵ちゃんたち4女神が女版眠京太郎に臥留子ちゃんを起こすように言う。だが京太郎はそれを拒否した。首を左右に振ったのだ。
「やだよ~。そんなことしたら、ボクチンの世界が消えちゃうから~」
眠京太郎は断固拒否の構えのようだ。
だが、こちらには手がない訳じゃない。そのために女体化させたのだ。
「恵ちゃん。やっちゃって」
「わかったのですっ。では、えいっ」
ボフンと、またまた白い煙が女版眠京太郎を包む。そして、さあっと煙は風に流された。するとそこにいたのは一糸まとわぬ姿の眠京太郎だったのだ。
いや、もう眠京太郎子だな。
さすがに得意な裸に剥く神力なので、恵ちゃんは一発で成功させた。
「う、うぎゃ~! な、なにこれ~! ハズいよ~。恥ずかしいよ~!」
「にゃにゃにゃ! これは見てはいけないのですにゃん」
京太郎子は右手で胸を隠し、大事な下を左手で覆う。
顔は羞恥で真っ赤に染まっている。
どうやら身も心も女性になってしまっているようだ。そして柱時計猫は時計から手を離し両手で顔を隠している。
で、俺だがいくら元が男だと言え、やはり全裸の女体をジロジロ見るのは憚られるので、そっと視線を逸らすのであった。
「お、お願い~。なんでもするから、裸はやめて~!」
京太郎子は大事な部分を隠しながら涙目で、そう訴える。なんでもする、とのことなので、どうやら言質は取れた。
そしてその表情は必死だ。懸命に頼んでいるのがわかる。なのでとても演技とは思えないので、俺はちょっぴり可哀想になってくる。
「……まあ、いいんじゃないか?」
「そうですねっ。じゃあ、臥留子ちゃんを起こしてくださいっ」
「ええっ~。それだけは~、それだけは~」
おいおい。自分でなんでもするって言っておいて、まだ拒否するのか。じゃあこのまま放置だろうな。
「だったら、一生このままよ。全裸で過ごすといいわ」
呂姫ちゃんが鋭く指で京太郎子を指さした。ズビシと音がしそうな勢いだ。
すると京太郎子は、ううう、と、狼狽えた。顔はもう真っ赤を通り過ぎて湯気でも吹き出しそうだった。
……これは落ちるな。
そう俺は確信した。
「……わかったわよ~。臥留子を起こすよ~」
そう言った京太郎子は、なにやらぶつぶつと呟いた。どうやら呪文のようだ。
すると世界が一変した。
周りの木々も足元の草原も青い空もテーブルも食器も、そして柱時計猫も、なにもかもがグニャグニャに歪み始めたのであった。
屈服させたのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。