381話 集子ちゃんも秀子ちゃんも失敗なのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
胴体はビキニ姿だった。それはいい。だがそれ以外は問題外である。存在したのはあの肥大化したブヨブヨの眠京太郎の胴体だったのだ。
顔は人形のように整っている美少女なのに胴体は醜悪な肉塊。まるでバランスが取れていないのだ。
ソフビ人形という昭和レトロのおもちゃがある。
主にヒーローや怪獣たちのフィギュアである。それらのほとんどは首が取れるようにできている。
そして2つの異なったソフビ人形の首を交換するとまったくの別物になる。つまりなにが言いたいのかと言うと、この眼の前の物体は美少女の人形の首を醜い怪獣の胴体にすげ替えた形みたいなのだ。
「……これは醜いな」
「はいっ。……直視できない物体ですっ」
「ごめん。上手くいかなかったわ……」
「ふぉふぉふぉ。失敗じゃのう」
「怪物」
恵ちゃんも失敗。そして呂姫ちゃんも失敗だ。なので今後は集子ちゃんがチャレンジすることになった。
「ふぉふぉふぉ。では試してみるかのう。……ふんぬ」
ボフンと白煙が巻き上がり、眠京太郎を包む。そしてその濃い煙は中の様子が伺えない。だがやがて煙は晴れていき眠京太郎のシルエットが浮かび上がる。
「「「「「げげげっ……!!」」」」」
すっかり煙が去ったとき、残されていた物体は奇っ怪なものだった。
……いや、違うな。これは完全に化け物だ。
手足胴体はビキニを着た見事な女体化だったのだが、頭が駄目だった。美少女ではあるのだが肩の上に頭部が2つあるのだ。
それぞれが意思を持っているようで左右で別々に動いている。しかしその意思はどうも眠京太郎のものではないようで目がトロンとしてぼんやりしている状態だ。
「ふぉふぉふぉ。失敗じゃのう」
集子ちゃんは片目を閉じて舌をぺろりと出す。まあ、いわゆるテヘペロだ。
「う~ん。頭が2つじゃ駄目だよな」
「そうですねっ。しかも肝心の眠京太郎の意識がありませんしっ……」
集子ちゃんも失敗だった。
だとすると残るは遊戯の神である秀子ちゃんだけだ。なので自然に俺たちの視線は秀子ちゃんに集まる。
すると普段は無表情の秀子ちゃんなのだが、さすがにこの状況はわかっているようで、ちょっと顔が引きつっている。
「……わかっている。私の番。……ていっ」
秀子ちゃんは両手を前に突き出して神力を発動させた。すると頭が2つの水着姿の美少女が、ボフンと音をたててまたしても白煙に包まれるのであった。
「……今度こそ、うまくいくといいな」
「そうですねっ。期待しちゃいますっ」
「あ、煙が晴れてきたわよ」
呂姫ちゃんが指さした。すると言っていた通り濃厚だった白煙が徐々に晴れてきたのだ。やがて浮かび上がるシルエット……。
「「「「「……なんでやねんっ」」」」」
事前に打ち合わせていた訳でもないのに全員で同じセリフで叫んでしまった。だが、それも仕方ない。
煙が晴れて姿を現したのは眠京太郎ではあったし、美少女でもあった。
だが、……それぞれ半分だけだったのだ。
ふたりとも失敗だったのですっ。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。