380話 女体化、失敗なのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「げっ! ……ば、化け物か!?」
「……なんてものをっ、……これは醜悪ですっ」
「……お、おぞましいわ」
「ふぉふぉふぉ。……魑魅魍魎じゃのう」
「……キ、キモい」
そうなのだ。
食卓に座っているのは女体化した全裸の眠京太郎だった。だが、身体はボンキュッボンのナイスバディな若い女性のものなのだが、……頭部がそのままだった。顔より太く肥えた首、そして顎が判別できない巨大な丸顔で油とソースでベトベトの髪の毛は以前の状態だったのだ。
なので頭部と胴体がまったくアンバランスな化け物が爆誕していたのだ。
……ただし俺の位置からはテーブルと食器の関係で胸の大事な部分と下の大事な箇所は見えない。
本来ならば、そのナイスなバディは男としては見ておきたいもののはずだが、今回に限っては見えなくて幸いだった。
「ん~。あれ~。ボクチンの身体が女になっているぅ~。しかも裸だぁ~」
さすがに眠京太郎も自分の状態はわかったようだ。だが恥じらいなどは一切感じられない。そして眠いのか目を手で擦り、再びうとうととなってしまう。
「ちょっと、神子恵。あんたのせいよ」
「ふぉふぉふぉ。失敗じゃのう」
「また寝た」
そうなのだ。
この作戦は失敗だ。どうやら身体は女になったけど顔だけじゃなく心まで男のままなので裸に恥じらいを感じないようだ。
「すみませんっ。責任は感じてますっ。でも順番でやるって話でしたよねっ? 次は呂姫ちゃんですよっ」
恵ちゃんにそう指摘された呂姫ちゃんは自分が言い出した順番制を思い出したようで、顔が引きつってしまう。おそらく責任重大だと言うことにも気づいたのだろう。
「し、仕方ないわね。……じゃあ、やるわよ。ホイッ」
ボフンと音がして再び眠京太郎は白煙に包まれた。そして煙の中の様子は一切見えない。煙が濃いのだ。
だが、やがて徐々に煙が薄くなってきて、ぼんやりとだがシルエットが見えてくる。
「うまくいってるといいな」
「そうですねっ。呂姫ちゃんは水着化させるのは得意なんですけど、女体化の腕前は見たことがないんですっ」
そうなのだ。
呂姫ちゃんは男女問わず服装を水着だけに変えてしまうのが得意だ。体育祭や山登りのときも、その神力はなんども目にしたことを俺は思い出す。
「そろそろ見えてくるわよ。……うまくやれたならいいんだけど」
呂姫ちゃんはちょっと自信がないようだ。まあ、得意な神力じゃないだろうしな。
そして煙がほぼ晴れた。頭の部分からはっきりと見え始める。
俺たちは目を凝らして眠京太郎を凝視する。
「お、成功か? 美少女だぞ」
「そうですねっ。眠京太郎の面影は残っていますが、きれいな女の子ですっ」
そうだった。
髪の毛は男の眠京太郎と同じ黒いロングヘア。そして眠京太郎の顔のパーツを活かしつつ、これでもかと魔改造して美少女化させた顔がそこにあったのだ。
だが胴体の部分が顕になったとき、俺たちは絶叫してしまうのであった。
「「「「「なんじゃ、そりゃ~っ!!」」」」」
恵ちゃん、失敗なのですっ。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。