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38話 監視役です。

【毎日昼の12時に更新します】



この作品には以降のストックがありません。

そのため書き上げてからの投稿となるので一日一回の更新となります。

すみませんが、よろしくお願いいたします。



この物語は毎話毎話が短いです。

それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。

……決して、私の手抜きではありません。

……きっと。




「蒸気機関車なら乗ったことありますよっ」




「蒸気機関車?」




 余計なことに新井が興味を示した。




「はいっ。

 真っ黒で煙を吐いてボーっと汽笛を鳴らす機関車ですっ」




 ……しまったと思った。

 きっと恵ちゃんは昭和時代の中頃まで走っていた蒸気機関車に乗ったことがあるんだろう。

 それでそのことを言っているの違いないのだ。




「あ、これには理由(わけ)があって……」




 俺はどうにかごまかそうと口を開いた。

 すると澤井さんがにっこりと笑顔を見せたのだ。




「私も乗ったことあるわ。

 観光用に走っているわよね?」




「あ、そういえば私も乗ったことある」




 河合さんも頷いた。




 そうだった。

 現在でも全国のあちこちに観光用に走らせている蒸気機関車があったのを俺は思い出す。




「なんか蒸気機関車って男っぽいわよね。

 たくましいイメージあるわ」




「そうそう。

 でも煙がすごいからちょっと困るのよね」




 うまい具合に澤井さんと河合さんで話が盛り上がってくれた。

 俺は安堵のため息をつく。




 そしてそれから様々な話で盛り上がり、

 気がつくと到着駅に来ていた。

 俺たちは席を立って電車を降りたのであった。




「あ、みんないますっ」




 恵ちゃんが指さす方角に我が校の新一年生が集まっていた。

 俺たちは到着すると口々に挨拶を交わした。




 そして先生の訓示があって、

 俺たちは新幹線に乗り込んだのであった。




「……どうして私の隣が大吉さんなんですかっ?」




 恵ちゃんが心底驚いたような顔をする。

 俺たちは新幹線の中も班割りで席順が決まっていた。

 俺は本当は澤井さんの隣りだったのだが、無理を言って恵ちゃんの横に座らせてもらったのであった。




「理由はわかってんだろうが?」




 俺はため息交じりに答えた。




「なんででしょう? 

 子作りの神様としては嫁候補の澤井さんか河合さん、

 そうでなくても私以外の女子と座って会話を重ねて、

 向こうについたら夜這いでもしてもらって、

 作るモン作ってもらった方が都合が……、い、痛いですっ」




 恵ちゃんの会話は止まった。

 それはもちろん俺が手刀で恵ちゃんの脳天を叩いたからだ。




「それが原因だ。

 お前が人間の一般常識から外れた会話や行動を始めるからだ」




「ええっ。

 じゃあ大吉さんは私の監視役ですか?」




「平たく言えばそうなる」




「それって屈辱ですっ。

 だって私は大吉さんの守り神なんですよっ」




「なら、それらしい行動をしろっ」




 そんなこんなの会話を小声で俺たちは繰り返す。




「……ホントに仲いいね。加茂くんと神子さん」




 向かいの席の河合さんが微笑ましものでも見るようにそう言った。




「んな訳ない」




 俺は困り顔でそう答えるのであった。




 それから俺たちを乗せた新幹線は走り始めたのであった。




「んんっ。これはっ」




 車窓を見ていた恵ちゃんが突然、そう口にしたのだった。




 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。


私の別作品

「生忌物倶楽部」連載中


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み

「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み

「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み

「墓場でdabada」完結済み 

「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み

「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み

「空から来たりて杖を振る」完結済み

「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み

「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」連載中


 も、よろしくお願いいたします。


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