378話 犯人はやっぱり眠京太郎なのです。
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「京太郎さんっ。臥留子ちゃんを眠らせたのは、あなたですかっ?」
恵ちゃんが核心をズバリと突いていく。するとまた食事を再開していた眠京太郎が手を止めて恵ちゃんを見た。
「臥留子~? 臥留子はボクチンがふらふらって訪ねたときは、もううたた寝してたよ~ん」
うたた寝? 俺たちが訪ねたときはすでに熟睡だった。あれはうとうとと言うレベルじゃない。確実に眠り姫状態だったからだ。
「……ははあ、ちょっと話が脱線するけど、わかったわ。……私たちがゲーセンを出て雲の回廊を歩いていたときは、まだ臥留子は船を漕ぎながらもかろうじて起きていたのよ」
「ふぉふぉふぉ。なるほどのう。……起きたり寝たりを繰り返していた。だから創造空間が不安定になってしまい、儂らが仕方なくそれぞれ世界を構築した。そして儂らが温泉を出たときに、完全に寝落ちしてしまって、創造空間が閉ざされたと言うことじゃのう」
「あり得る」
……ん?
なにか今ひとつよくわからん。だが俺の戸惑いがわかったようで恵ちゃんが答えてくれる。
「わかりましたっ。臥留子ちゃんは温泉で大吉さんをダイキチーナの姿に変えましたっ。それで約束は達成のはずだったのですっ。でもそこで臥留子ちゃんが寝ちゃったので創造世界が中途半端に残ってしまったのですっ」
なるほど。
確かに俺は温泉でダイキチーナの姿になった。元々それが目的で臥留子ちゃんを訪ねたのだから、それで元の世界へ帰れる手筈だったのだろう。
だが……、そこで完全に眠ってしまったことで俺の姿は元に戻ってしまったのだろうな。
「そこでうたた寝していた臥留子に神力で熟睡させたって訳ね? そうでしょう、眠京太郎?」
呂姫ちゃんがするどく指を指して眠京太郎に問う。
すると京太郎は、ギクリとしてちょっと身を引いた。だが前髪を掻き上げるポーズだけは忘れない。
「……な、なんでわかるんだよ~。ボクチンは今まで自分の世界を創れなかったんだよ~。なので臥留子の創った世界に乗っかる形で初めて自分だけの世界を構築できたんだよ~。だからボクチンは悪くないんだよ~」
なるほど。
こいつの考えは理解できた。だがとてもじゃないが同意はできないし、同情もできない。だがこいつが食べ物の不自由しない世界を創ったことだけはわかった。
すると京太郎に変化があった。
料理を食べる手を止めたかと思うと、いきなり首をカクンと下げたのだ。
「……なにがしたいんだ?」
俺は京太郎の謎行動がわからない。食べるのも喋るのもいきなり止めたかと思うと無言で俯いてしまっているからだ。
「……あれは寝ちゃいましたねっ」
「食べたから眠くなったのね」
そうなのか。
食べるの喋るのも、そして寝るのもすべてマイペースなヤツだな。他人のことなどお構いなしって感じだ。
「で、どうすんだ?」
俺がそう尋ねると恵ちゃん、呂姫ちゃん、集子ちゃん、秀子ちゃんが揃って大きく頷いたのだ。
「起こすに決まっていますっ」
「さあ、叩き起こすわよ」
「ふぉふぉふぉ。京太郎を起こして、臥留子も起こすのじゃ」
「同意」
すると女神たちは眠京太郎の巨体の周りに集まって揺すったり叩いたりするのであった。
やっぱり犯人だったのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。