377話 眠京太郎なのです。
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「「「ええっ~!!」」」
恵ちゃんの発言に呂姫ちゃん、集子ちゃん、秀子ちゃんが驚愕の声を出す。全員同じ反応で両手で開いた口を抑えていた。
「……た、確かに眠り神:眠京太郎だわ」
「ふぉふぉふぉ。言われてみれば顔に面影があるのう」
「……まさかの同一人物」
すると騒ぎに気づいたようで肥え過ぎた男が食事の手を止める。そして俺たちを見て、ややすると、驚き顔になるのであった。
「ボクチン~、夢見てるのかな~。人間名:子宝大漁と~、辻神呂姫と~、遊戯秀子がいる~。あとの男と女は知らない~」
聞いている方が苛つくような鼻にかかった棒読みでそう言いながら油とソースでベトベトなはずな手で長い髪を書き上げるのであった。どうやら決めポーズのようだが、容姿が容姿なので様になっていない。
正直言ってキモい。いや、気持ち悪い。
「私の人間名は子宝大漁じゃなくて、今は神子恵と名乗っていますっ。そして男の人は私の氏子で加茂大吉さんですっ。あなたが知らない女の人は高利貸しの神である金尾集さんで、今は女神で金尾集子ちゃんになっているのですっ」
「ボクチンに聞き間違いがないのであれば~、子宝大漁は神子恵って名前になっていて~、その男は氏子で~、金尾集の爺さんは集子と言う若い女の子になっているんだね~」
……ああ、イライラする喋り方だな。声が甲高いだけで耳障りなのに語尾を妙に間延びさせるのが鬱陶しい。
そしてそう思っているのは俺だけじゃなかったようだ。
「相変わらずイライラさせる話し方ね。普通に喋りなさいよ」
「ふぉふぉふぉ。容姿は変わったが喋り方は変わらんのう」
「不愉快」
呂姫ちゃん、集子ちゃん、秀子ちゃんも辛辣だ。
だが眠京太郎は笑顔を崩すことはなかった。
「だってこれがボクチンの喋り方だよ~。今更変えるなんてできないよ~」
そう言って、またベタベタの手で前髪を掻き上げるのであった。するとそれまで黙っていた猫が口を開く。
「それよりですにゃん。なんでご主人様はまた食べてるにゃん。私が帰ってくるまで我慢する約束だったはずにゃん」
「だって、お腹すいちゃったんだよ~。食べたくなるじゃん~」
「駄目ですにゃん。私が用意した食事だけを食べる約束だったはずにゃん。だからそんなに太ってしまったですにゃん」
なるほど。
今の会話から察するにどうやらこの猫は眠京太郎の食事管理をしているようだ。そして食事を用意するために時間を気にしながら急いで戻ったのだろう。
だが眠京太郎はそれを待たずに食べ始めてしまっていたのだろうな。
「この世界はなんなんですかっ? おっきな野菜ばかりあるのはなぜですかっ?」
「ボクチンが食べるために決まっているよ~。初めて自分の世界を創ったから嬉しくて食べ物に囲まれた世界にしたんだよ~。ほら、あっちにもあるよ~」
そう言って眠京太郎は俺たちの背後を指さした。なので見ると柵があり、その中でよく肥えた牛や豚が放牧されているのが見える。そしてその隣にはたわわに実った麦畑や田んぼもあった。
なるほど。あれらぜんぶが食材なんだろうな。
「なるほどね。他の神々に干渉されない自分だけの世界を創ったって訳ね」
「ふぉふぉふぉ。それで食べてばかりいたので、そんなに肥えてしまったとはのう」
「食べ過ぎ」
まあ、取り敢えず眠京太郎が太ってしまった原因はわかった。そして猫との関係もだ。後は臥留子ちゃんをなぜ眠らせたかについてだな。
眠京太郎は食べ過ぎなのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。