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376話 猫のご主人様なのです。

基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

「……これ、木じゃないぞ」




「……緑の方はブロッコリーですっ」




「白い方はカリフラワーね」




 そうなのだ。

 見上げる巨木のような緑と白の正体は巨大化したブロッコリーとカリフラワーだったのだ。

 遠目には緑の木と白い木だと思っていたんだが、まさか野菜だったとは……。




「ふぉふぉふぉ。きのこと言いキャベツ、レタスと言い、めちゃくちゃじゃのう」




「理解不能」




 なるほど。

 意味不明な状態だが、唯一わかったことがある。

 この世界を創ったと思われる人間名:眠京太郎は野菜好きだと言うことだ。自分が嫌いなものを自分の世界に構築するヤツなんているわけがない。




「ヤツは野菜好きなんだな?」




「……どうでしょうっ? 私は知りませんっ」




「野菜好きよ。って言うか食べ物はなんでも好きなんじゃないかしら?」




 呂姫ちゃんがそう説明する。どうやら俺の予想は当たっていたようだ。

 そして肝心な猫なのだが、ブロッコリーとカリフラワーの森の奥へと進んで行くのが見え隠れしている。

 なので俺たちは距離を保ちながら後をつけるのであった。




 それからしばらくしたときだった。

 視界が開けた場所に到着した猫が足を止めたのだ。なので俺たちは巨大ブロッコリーの陰に隠れて様子を伺う。




「やっと到着したにゃん。時間ぎりぎりだにゃん。……って、あれご主人様、駄目ですにゃん」




 よく見ると芝生広場になっている場所の中央に背の高い衝立があり、その向こうに猫が姿を消しながら誰かに話しかけているのがわかる。

 そしてよく聞き取れないが会話が始まっているのがわかる。衝立の向こうに誰かがいるのだろう。




「ご主人様って言ってたな。誰かいるんだろうな」




「そうですねっ。衝立の向こうにいるんだと思いますっ」




 俺は女神たちと顔を見合わせた。すると全員頷いた。あそこの衝立まで行ってみようという合図だった。

 そして俺たちはなるべく足音を立てないように歩く。地面は芝生なので音はほどんど起こらなかった。

 そして衝立に到着した。この裏側に猫のご主人様がいるんだろう。




「……じゃあ、行くぞ」




 俺は小声でそう女神たちに告げた。すると全員深く頷くのが見えた。

 そして俺たちは衝立の向こうへと回り込む。

 すると予想通りに猫とその主人がいた。




「ふぎゃ。いつの間にか尾行されていたのだにゃん!」




 猫はあまりにも驚いたのか手にしていた柱時計を地面に落としてしまっている。

 そして俺たちだが、猫よりもそのご主人の姿の方に驚いてしまって唖然となっていた。




 そこにはテーブル席があり、ひとりの男性が大量に用意されている食事をしていたのだが見たこともない程に太っていたのだ。

 そしてその男性は俺たちのことなど気づいていないようで一心不乱にがつがつと食事を続けているのだ。

 フォークやナイフはあるのだが、それは使わず手掴みで肉、野菜、パンなどを大口を開けてまるで放り込むようにがっついている。手も口周りも油やソースでベタベタになっているのに、まったくお構いなくの状態だ。




 ……この体形。まるでゆで卵に手足が生えているみたいだな。




 顔はまんまるで首に脂肪が付き過ぎていて、身体は前後左右に肥え過ぎてもはや球体だ。髪はボサボサの長髪で、そして腕や足は驚くほど細い。




 俺たちは呆気にとられて、ただただ食事する男性を見続けていた。

 だがしばらくしたとき、恵ちゃんが、ああっ、と叫んだのだ。




「あれは人間名:眠京太郎ですっ。なんであんなに太ってしまったんでしょうっ」


眠京太郎、発見なのですっ。(`・ω・´)∩




 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。


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