375話 常識外のキャベツとレタスなのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「……こ、これキャベツじゃねーか?」
「ああっ、こっち側はレタスですよっ」
そうなのだ。
遠くから見えていた巨大な丸いものはキャベツやレタスだったのだ。やはり俺たちの背丈よりもずっと高くて向こう側がまったく見えないほど大きい。
「あれ? 猫は?」
俺はあちこちキョロキョロ見回した。お化けキャベツやお化けレタスに気を奪われていて見失ってしまったのだ。
だが、大丈夫だった。集子ちゃんが見張っていてくれたのだ。
「ふぉふぉふぉ。右奥の方角じゃのう。急ぎ足で向こうに去って行くのう」
「視認確認」
なるほど。
確かに右奥の方角で時折キャベツの陰に見え隠れしながらも背中が見える。なので俺たちもその方角へと進路を取るのであった。
そんなときだった。
俺はふとあることが思い浮かんだのだ。
「……なあ、この異世界は誰が創ったんだ? 臥留子ちゃんなのか?」
「どうでしょう? 臥留子ちゃんは熟睡していましたしっ」
「そうよね。眠っているのだから今まで創った空間の現状維持しかできないでしょうね」
なるほど。
そうなると別の神様が創造したと考えるべきか。
「ふぉふぉふぉ。ならばヤツしかおらんのう」
「眠京太郎」
そうか。
これは消去法でわかる。臥留子ちゃんではない。そして恵ちゃん、呂姫ちゃん、集子ちゃん、秀子ちゃんでもない。
だとすると新たに存在が浮かび上がった男神である眠京太郎しかないだろう。
「なるほど。じゃあ、あの猫を追っていけば眠京太郎に行き着く可能性があるな」
「そうですねっ。あの猫もきっと人間名:眠京太郎が創ったのだと思いますっ」
恵ちゃんの言葉に集子ちゃん、秀子ちゃんも頷くのであった。
それからも俺たちは猫を程よい距離を保って追うのであった。猫はその間、まったく振り返ることがなく俺たちの存在には一切気がつくことがなかった。
そしてしばらくすると巨大キャベツ、巨大レタスの森を抜けた。
すると辺りは芝生のような短い草原となり視界が一気に開ける。遠くに小走りで進む猫の背中を見ながら俺たちは進むのであった。
「……しかし、あの猫、いったいどこまで行くんだ? もうずいぶんの距離を来たぞ」
そうなのだ。
あの隠し扉の狭い通路を抜けてから、ずいぶん長い距離を進んだのだ。きのこの森もあったし、巨大なキャベツやレタスもあった。
もうそろそろ到着してもいいんじゃないかと思うのだが……。
「ああっ! なんか見えてきましたよっ」
恵ちゃんが前方の草原の向こうを指さした。見ると樹形がこんもりと丸い緑の木と白い木らしきものがあった。それらがたくさんあるので森なのかもしれない。
そして猫はその方向へと向かっているのがわかる。
「緑のはわかるんだが、白い木なんてあるんだな」
「葉っぱがすべて白いように見えますねっ」
そして段々と距離が近づいてきた。すると緑の木も白い木も俺たちが日常で見かける樹木とはまるで異なることがわかり、俺と女神たちはまたしても口をあんぐりと開けてしまうのであった。
今度はキャベツとレタスだったのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。