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372/512

372話 隠し扉なのです。

基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 俺たちと猫の追跡劇はまだしばらく続いた。

 速度は猫の方が速いんだが、姿が丸見えなので見失うことはない。なので距離が開いてもそれほど不安はない。




「……ん? 壁がはっきり見えてきたな」




「砂壁ですねっ。屋敷の入口付近の壁に似ていますっ」




「……でも、あの猫どうするつもりなのかしら?」




「ふぉふぉふぉ。行き止まりじゃのう」




「理解不能」




 そうなのだ。

 正面は壁。それも左右に大きく広がっている。そこに襖などは一切見当たらない。床面はすべて畳。天井は木製の格子模様で飛び上がっても届く高さじゃない。つまり俺たちの追跡を躱す方法などないのだ。なので猫の行動原理がわからない。




 そのときだった。猫が足を止めたのだ。そして素早く左右を見回している。停止したことで俺たちはどんどん接近している。もう手を伸ばせばその着物を掴めそうな距離になった。




「ニャニャニャ。……見つけたのだにゃん!」




 驚いたことに猫が人語を話したのだ。そしてなにかを見つけたらしい左側へといきなり駆け出したのだ。もちろん柱時計を抱えたままの二足歩行でだ。

 どうやら全力疾走のようで再び俺たちとの距離が開く。




「なにかを見つけたようだな?」




「……わかりませんっ。私には壁しか見えませんよっ」




 そうだった。

 それは俺も同じだ。再び走り出した猫を追いながら俺は後方を振り返る。すると呂姫ちゃん、集子ちゃん、秀子ちゃんも走り出しているのが見える。




「ああっ、見てくださいっ。壁に仕掛けがあるみたいですよっ」




 恵ちゃんが壁に向かって指さした。するとそこには猫が壁の一部を引っ張って扉らしきものを開けているのが見えたのだ。

 ……隠し扉?

 俺はそう思った。なぜならば辺り一面は黄色がかった砂壁で扉など見当たらなかったからだ。だが、現実に猫は砂壁の一部を開いている。それは高さ1メートルもない隠し扉だったのだ。




「おさらばだにゃん」




 猫は振り返ると俺たちにそんな言葉をかけた。どうやらこの猫、俺たちを挑発しているようだ。そして扉をぱたんと閉めるのであった。




「まずいぞ! 逃げられる!」




 俺たちは隠し扉の前に到着した。よく見なければつなぎ目がわからない程に巧妙に隠された扉だ。

 俺は取っ手を探す。だがそれらしいものが見当たらない。だが猫はこの扉を開けたのだ。なので取っ手のようなものがあるはずだが……。待てよ。それともなにかの道具を使って開けたのだろうか?




「取っ手が見つからないなら、押せばどうでしょうっ」




「バカね。猫は引いて開けていたでしょ」




 恵ちゃんの意見を呂姫ちゃんが一蹴する。だが試しとばかりに俺が押してみた。だがやはり引き戸のようで、まったく開く気配がない。




「ふぉふぉふぉ。ここの隙間がちょっと幅が広いのう」




「同意。ここだけ幅がある」




 集子ちゃんと秀子ちゃんが扉の一箇所を指さした。よく見るとそこは隠し扉と壁の境目で確かに一箇所だけわずかだが幅が広くなっている。

 どうやらここになにか薄い物を差し込んで扉を引っ張る仕組みのようだ。

隠し扉があったのです。(`・ω・´)∩




 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。



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