368話 男神の特徴なのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「名前はなんていうんだ?」
俺がそう尋ねると、女神たちが嫌そうな顔になる。そうとう苦手な様子だ。
「……人間名:眠京太郎ですっ」
代表してか恵ちゃんがそう答えた。なるほどこれで特徴は理解した。きざで長髪で喋り方がキモくて眠京太郎と言う名前の男神ってことだ。
「じゃあ、その眠京太郎を探しに行くか」
「……わかりましたっ」
「気が進まないけど……」
「ふぉふぉふぉ。仕方ないのう」
「不満ながらも同意」
そして俺たちは玄関まで戻り、虎の衝立の奥へずっと続く廊下を見つめるのであった。室内なのに霞でも発生しているのか最奥部は霞んで見えない。いったいどれだけの距離があるんだろうか。
「前回は途中で廊下脇の襖を開けて部屋に入りましたっ。今回はどうしますっ?」
「そうね。……前回と同じ轍は踏めないわ。別の手を考えましょう」
「ふぉふぉふぉ。案外、奥まで行く途中で見つかるかもしれんのう」
「いたらその場で確保」
なるほど。
なにもいちばん奥まで行く必要はない。途中で出会ったりする可能性があるし、もし物音がしたりすればそこの部屋を調べれば済む話だ。
「じゃあ、行くか」
俺たちはこうして廊下を奥に向かって歩き始めるのであった。
しばらくは両側が落ち着いた色の砂壁が続いた。だがやがて廊下の両側に襖が登場する。四季の風景が描かれた和風のタッチのものだ。
「出たな、襖」
「そうですねっ。開けますかっ?」
「開けて確認するのはいいわ。でも中に入って別の襖を開けて進んでしまったら迷路よ。前の二の舞いになってしまうわ」
「ふぉふぉふぉ。では中には入らず開けて部屋の中を確認するだけにするかのう」
「同意。安全第一」
呂姫ちゃん、集子ちゃん、秀子ちゃんの意見に俺と恵ちゃんは賛成することにした。そして廊下両側で対になっている襖を手分けして開けることにした。
ちなみに廊下の右側の部屋を俺と恵ちゃん、呂姫ちゃんが、そして左側を集子ちゃんと秀子ちゃんが担当することなった。
「じゃあ、開けるぞ」
俺は廊下右側の襖をガラリと開けた。
「……なにもありませんねっ」
そうだった。
中は20畳ほどの畳の部屋でなにもない。座卓も座布団も見当たらない。当然、捜している男神の姿もなかった。
「あれが曲者なんだよな」
「そうですねっ。あれが地獄の始まりでしたっ」
俺たちがそう言ったのは部屋の3方にある隣の部屋へと続くと思われる襖の存在だ。あれを開けて部屋に入ると迷路状態になってしまうのだ。
そしてそれだけじゃなくて、全裸の女神たちが登場してしまう可能性もあるのだ。それを避けるために俺たちは部屋には入らず廊下から中を確認することに決めたのだ。
男神の特徴がわかったのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。