362話 男の身体に戻ってしまったのです。
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言われて俺は立ち上がろうとした。
そのときふと思ったのだ。
「なあ、俺はそもそもダイキチーナの身体になるために臥留子ちゃんの家に来たんだよな。だったらもう目的は果たしたんだから、このまま帰るってことはできないのか?」
「駄目ですねっ。ここは確かに臥留子ちゃんの創造空間なのですが、祠の位置がわからなのですっ」
「……ん? どういうことだ?」
「私たちが入った祠があったでしょ? その位置がこの雲の道と直接繋がっていないのよ。だから臥留子に会う必要があるの」
恵ちゃんと呂姫ちゃんがそう説明してくれた。よくわからんがとにかく臥留子ちゃんに会わなきゃ駄目なようだ。
「わかった。とにかく臥留子ちゃんだな。会いに行く必要があるってことだと理解した」
俺はそう言って立ち上がる。
すると湯気とは違う白煙が俺を包みボフンと音を立てる。
そして一瞬気が遠くなった。
「……な、なんだ?」
俺は違和感を覚えた。
身体の感覚がなにか違うのだ。
「きゃ~っ、だ、大吉さん、前を隠して下さいっ」
恵ちゃんに叫ばれた。
俺はとっさに自分の身体を見る。すると男に戻っていた。ダイキチーナから大吉に戻っていたのだ。
なので俺はいそいで前を隠す。
「す、すまん」
「謝らなくて大丈夫よ。どうせ臥留子のいたずらよ」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。風呂から出たら元に戻るようにしたんじゃろう」
「不可抗力」
呂姫ちゃん、集子ちゃん、秀子ちゃんにそう言われながらも俺はいそいで風呂を出て男用の脱衣場に向かうのであった。
そして服を着た。そこで思う。もしダイキチーナの身体のままだったらマズかったのだ。なんせ胸を覆う下着がない。服を着ているのは言え、ノーブラでユランユランさせながら歩くのは俺の理性的に問題があったのだ。だから男に戻って正解だ。
そして俺はありがたくコーヒー牛乳をいただいた。風呂上がりにはこれはたまらない。俺は無料であることをいいことに3本も飲んでしまった。きっと恵ちゃんたちも味わっているに違いない。
それから俺と女神たちは脱衣場の外で合流した。
みんな湯上がりのさっぱり顔で温泉を堪能できたのがわかる。聞けばやはりコーヒー牛乳を堪能したとのことだった。
「じゃあ、行くか」
「そうですねっ」
俺たちは再び雲の回廊を歩き始める。地上の様子は雲海でさっぱりわからない。そんな状態で俺たちはしばらく歩き続けたときだった。
道に変化があったのだ。
「道が曲がってますねっ」
「そうね。右回りに曲がっているわ」
そうなのだ。
これまで多少左右に曲がっていることがあったが方角的にはほぼ直線だったのだが、ここにきて道が大きく右回りで弧を描いているのが見えたのだ。
「しかも下っているのう」
「下り坂」
そうだった。
そんなに傾斜はないのだが、右に回って緩やかに下っているのもわかるのだ。
加茂大吉の姿に戻ってしまったのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。