359話 混浴なのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
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そして女用の脱衣場の扉の向こうからなにやら話し合っているのが聞こえる。ただ声が小さいので話の内容まではわからない。
しばらく待っていると会話が終わった。そして恵ちゃんの声が聞こえてくる。
「あの~、大吉さんっ。露天風呂のお湯は濁っていますかっ?」
「ああ、真っ白に濁っている。間違いなく硫黄泉だ」
するとまたなにやら女神たちが小声で会話を始める。俺は仕方なく裸のまま待つことになった。
「あの~、大吉さんっ。提案がありますっ。まず私たちが入りますから、私たちが呼ぶまで男用の脱衣場で扉を閉めて待ってもらえますかっ」
「別に構わんぞ。わかった。扉を閉めて脱衣場で待ってる」
俺はそう返答して脱衣場に戻った。そして約束通り扉を閉めて中で待つことにした。
たぶんだが女神たちが先に入浴して、そして風呂から出たら俺が入れることになるんだろう。
すると女用の方の脱衣場の扉が開かれる音がした。そして女神たちの会話が聞こえる。
「良かったですっ。ちゃんと濁っているお湯ですっ」
「そうね。これなら大丈夫ね」
「ふぉふぉふぉ。本当に真っ白じゃのう」
「透明度ゼロ」
それから洗い場で女神たちがかけ湯をする音が聞こえてきた。俺はと言えば言われた通り男用の方の脱衣場で椅子に裸で腰掛けていた。
寒くはないので服を着るのも面倒だしな。また脱ぐことになるんだし。
「はあ~、気持ちいいですっ」
「この硫黄の匂いがいいのよね」
「ふぉふぉふぉ。気分がいいのう」
「最高」
そんな会話が聞こえてくる。どうやら4女神たちは風呂に入ったようだ。
そんなときだった。
「大吉さんっ。もう来てもいいですよっ」
「加茂くん。もう大丈夫よ」
「ふぉふぉふぉ。入って構わんのう」
「入浴許可」
そんな言葉が聞こえてきたのだ。
俺は、へっ? と戸惑う。
「……まだ、お前ら入ってるだろ? 俺はその後でいいぞ」
俺はそう答える。当然だ。混浴なんてドキドキしちまってくつろげないしな。
なので俺が拒否したのは当然だ。わざわざ罠に自ら飛び込んで行く意思はない。
だが……。
「いいから来て下さいっ」
「ホントに大丈夫よ」
「ふぉふぉふぉ。問題ないのう」
「入浴推奨」
なんて言われたのだ。なので俺は仕方なく男用の脱衣場の扉をこわごわと開けて露天風呂に向かうのであった。
そして洗い場でかけ湯をして、風呂を見る。
……なるほど。納得した。
ここは白濁した硫黄泉なのだ。なので入浴している女神たちの裸が見えないのだ。だから俺に入って来ても大丈夫だと言ったのだろう。
湯船の中には恵ちゃん、呂姫ちゃん、集子ちゃん、秀子ちゃんの姿が見える。髪の長い集子ちゃんと秀子ちゃんは頭の上に纏めているのがわかる。
みな胸元まで湯に使っている状態だった。
混浴になってしまったのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。