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356/512

356話 眼下の風景なのです。

基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

「……大丈夫みたいなようだな」




「そうみたいですねっ」




「遊戯秀子は普通に歩いているわね」




「ふぉふぉふぉ。なら儂らも行こうかのう」




 そう相談して俺たちは秀子ちゃんに続いて雲の回廊に足を踏み出すのであった。足場の具合は思いの外しっかりしていて少し柔らかい草の道を歩いているような感じだ。




 そして先頭を歩く秀子ちゃんにはすぐ追いついた。やはり足場が雲なので慎重に歩いているので速度が遅いからだ。そして俺たちは秀子ちゃんが実際に歩いた場所を踏んでいるので安心なことから早めに追いつけたのだった。




「お。……あれはどこかで見覚えがあるな」




 俺が下を見下ろしたときだった。地面が見えたのだ。それなりの高度があるので建物がマッチ箱程度にしか見えないのだが、その風景がなんとなく記憶にあるのだった。




「あれは臥留子ちゃんの屋敷じゃないですかっ? ほら、祠から入ってしばらく歩いて見つけた大きな和風屋敷ですっ」




 なるほど。

 確かに言われてみれば、なんとなく見覚えがある。広くて長い縁側があって、鶏もたくさんいたはずだ。




「上から見るとあんな造りだったのね」




 呂姫ちゃんも感慨深げに感想をそう述べるのであった。

 それからしばらくは山とか森とか草原とかの無人の大地の風景が続いた。

 俺たちはときおり左右に曲がる雲の回廊を歩いて行く。




「お。街が見えるな。日本の街じゃないな」




 そうなのだ。

 街は石造りでかなり規模が大きいのだが、その周囲をぐるりと城壁に囲まれているのだ。……あれは? もしや。




「あれ、恵ちゃんが創った女だけの街じゃないか?」




「あ~、そうですねっ。確かに見覚えがあります。




 やはり恵ちゃんが創った街だった。それを臥留子ちゃんが再現したのだろう。




「へー、あんな街創ってたんだ。割とセンスいいわね」




「止めて下さいっ。呂姫ちゃんに褒められるとなんか裏がありそうですっ」




「失礼ね。私だって褒めるときは褒めるわよ」




 そんな軽口の叩き合いを恵ちゃんと呂姫ちゃんがしている。

 そしてそんなこんなで俺たちはどんどん歩き、やがて恵ちゃんが創った街は後方へと去って行く。




 そして眼下がいきなり見えなくなった。どうやら低い位置に雲か霧が発生しているようで地面の様子がわからないのだ。

 だが、しばらく歩き続けるとやがて視界が戻って来る。

 街が見えた。だがそれは恵ちゃんの創った中世ヨーロッパの街並みではなく、現代日本のように思える。




「ああっ、あれ神武高校ですよっ」




「ホントね。間違いないわ」




「ふぉふぉふぉ。あっちには神武商店街が見えるのう」




 そうなのだ。

 この街並みには見覚えがある。なんと言っても毎日登校している学校とその近所の風景なのだ。空高くから見ても記憶通りで間違いない。




「……ん? ってことはこれは秀子ちゃんが創った世界か?」




 そうなのだ。

 秀子ちゃんは神武高校とその近所、そして商店街を創造していたのだ。そして俺たちはゲーセンで秀子ちゃんと再会したのである。




「……と、言うことはこれは私たちが創造した世界の再現ですねっ」




 そうである。

 最初は恵ちゃんが創った中世ヨーロッパの街、そして今度は秀子ちゃんが創った神武高校界隈なのだ。

 だとすると次はどの世界が再現されているか簡単に想像がつく。

大地の風景が見えるのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。


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