353話 露天風呂なのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
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「……気持ちいいな」
俺は肩まで湯に浸かりホーッと息を吐く。手足を伸ばして入れる大きい風呂は最高だ。まして白濁したお湯と硫黄の匂いは非現実感があってより一層気持ちいい。
「気持ちいいね」
気がつくといつの間にか新井がいた。新井も俺と同じように肩まだ浸かり全身脱力している。
「あ、露天風呂があるな。俺そっち行くわ」
俺は窓の外に庭園があって、そこに露天風呂があるのを見つけたのだ。別に新井が近くにいるのが嫌と言う訳ではないのだが、露天風呂があるなら入ってみたかったのだ。
「本当だ。悪いけど僕もそっちに行くよ」
どうやら新井は着いてくるようだ。まあ、別に構わないけどな。
そして白く濁った露天風呂に到着した。そこは岩風呂で三方が岩や大きな石で囲まれている20人くらいは入れる風呂だった。壁の一箇所は板塀になっていた。もしかしたら女湯との隔てかもしれない。
そして俺と新井が湯に使ったときだった。
「きゃ~、ど、どこ触ってるんですかっ!」
突然、恵ちゃんの叫び声が聞こえてきた。
俺たちがいる男湯まで届く大きな声だ。たぶんこの板塀一枚隔てた向こうは女湯なんだろうな。
「神子恵の膨らみかけの胸。その清楚な形。思わず触りたくなるわね」
「同意。私より小さい」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう」
なんてことだ。
どうやら恵ちゃんが他の女神たちにイジられているらしい。そしてどうやら呂姫ちゃんは恵ちゃんたちと再会できたことで元気になったようだ。
「……や、やめてくださいっ。やめてくれないと、こうですよっ」
「きゃ~。神子恵、どこ触ってるのよ」
「呂姫ちゃんのたわわですっ。実にけしからんですっ。ついでに秀子ちゃんのささやかも集子ちゃんのたわわも触っちゃいますよっ」
「神子恵。お願いだから背中から鷲掴みしないで~」
「むう。同性とは言え恥ずかしい」
「ふぉふぉふぉ。正面から堂々と揉まんで欲しいのう」
バシャバシャと湯が弾ける音がする。
で、俺なのだが10代少年の性でついついムラムラしてしまう。どういう場面になっているのか想像できてしまうのだ。
なんせチラッとは言え、俺は女神たちの全裸を見てしまっているからな……。
ただ、俺の一部が元気になり始めているのを横にいる新井に悟られる訳にはいかない。知られたら一生の恥だからな。
で、新井を見るとキョトンとした顔をしている。
「ずいぶん女湯は賑やかだね。だけど温泉で水泳大会は感心しないね」
「……水泳大会?」
「でしょ? だって誰がいちばん早く泳げるか競争しようと言ってるよね?」
なんてことだ。
たぶん、あれだ。新井は女神たちの神力で違う会話を聞いているに違いない。
なので、乳繰り合いをしていることを知らないので、済まし顔でいられるのだろう。
「まあ、確かにそうだな。でも他の人がいる訳じゃないから大目に見てくれ」
俺は新井に話を合わせることにした。その方が俺にとっても都合がいいしな。
そして俺と新井は騒々しい女湯の声を聞きながら身体を洗ったりサウナに入ったりと温泉を満喫するのであった。
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壁一枚向こうはパラダイスなのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。