351話 辻神呂姫ちゃんなのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
ただし、ストックがない状態なので遅れる可能性もございます。すみません。
客室数が数十もあるホテルから数部屋しかない民宿までいろんな宿泊施設がいくつも道の両側に立ち並んでいるのがわかる。
するとそれらのいちばん奥に城かと思わせるような立派な瓦屋根の大きな和風建築が見えてきた。
規模からして50室は最低でもありそうな巨大な旅館だった。
「あそこだよ」
新井はその旅館を指さした。そこは登り坂の頂上に位置していた。俺たちは新井の後に続き、その旅館を目指し、やがて到着した。
「この宿に僕を創った人がいるんだよ」
そう言った新井は正面ドアからロビーの中へと入る。ロビーは無垢の木板を生かした見事な和風空間だった。
俺たちは脇の下足入に履物を入れ、草履風に創られた和風スリッパに足をいれる。そしてロビーの中を進むのであった。
そしてやはり誰の姿もない。
「エレベーターを使って最上階に行くよ」
新井はそう言って俺たちをエレベーターホールへと案内する。やがて到着したエレベーターに全員で乗り込む。
するとわかったのだが、この宿は7階建てのようだ。そして新井は7階のボタンを押す。ふわ~んとした浮遊感とともにエレベーターが登って行くのがわかる。
「最上階ってことはいちばんいい部屋なんでしょうかねっ」
「スイートルーム」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。いちばん眺めが良い部屋が安部屋とは思えんしのう」
そんなこんなを話していたらエレベーターはやがて7階に到着した。チーンと音が鳴り、扉が開かれた。
するとそこは1階のロビーと同じような和風豪華な造りになっていて、あちこちにゆったりとしたソファセットが置かれていた。
見るとひとりの女性がこちらに背を向けて座っているのがわかる。肩辺りまでの金髪ショートボブの髪型。
……あれって。
「呂姫ちゃんじゃないですかっ」
声を掛けられて振り返るその人物。金髪碧眼の超絶美少女である辻神呂姫ちゃんで間違いなかった。
「あの人が僕をこの世界で創ってくれた人です」
新井がそう説明する。
そう言えばそうだった。新井は平凡の凡、地味で目立たず女にモテない男、それが新井真一なのだ。
だが、その凡の凡の部分をなぜか気に入ってしまっているのが呂姫ちゃんなのだ。それを考えればこの世界を創ったのは呂姫ちゃんだと推理もできた訳だ。
で、その呂姫ちゃんだが顔色が冴えない。
「どうしたんだ、呂姫ちゃん? なんだか元気がなさそうだぞ」
「体調でも悪いんですかっ?」
「気力不充実」
「ふぉふぉふぉ。覇気がないのう。なんかあったのかのう」
そうなのだ。
いつも前向きな陽キャなのが呂姫ちゃんなのだ。だが憂いを含んだ視線で俺たちを見、はぁ~とため息をつくのである。
「呂姫ちゃん、なにかあったのか?」
俺が尋ねると呂姫ちゃんは周りの空いているソファを俺たちに勧める。なので俺、恵ちゃん、秀子ちゃん、集子ちゃん、新井がそれぞれ空きソファに腰を下ろすのであった。
呂姫ちゃんがいたのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。