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350/512

350話 温泉郷なのです。

コロナの体調不良はほぼ治りました。

これから1日おきの投稿を心がけますが、……ストックが。

 

「誰か来ますねっ」




「ああ、男のように見えるな」




「あれは男」




「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。若い男に見えるのう」




 俺たちはそのまま動かずにいて、その人物が近づいて来るのを待っていた。

 するとどうも見覚えがある人物に思えてきた。

 そしてそれは間違いじゃなかったのだ。




「もしかして、新井か?」




「新井さんですねっ」




「私は知らない男子」




「ふぉふぉふぉ。同じクラスの新井真一じゃのう」




 そうだった。

 近づいて来たのは同じクラスの平凡中の凡である新井真一だったのだ。

 新井は派手さが一切ない柄のポロシャツにチノパンといったどこでも見かけそうな地味な私服姿で俺たちを見つけたのか手を振って歩み寄ってくる。




「やあ、久しぶりだね。みんな」




 その声、その顔、間違いなく新井だった。新井は平凡の凡の笑顔で俺たちの前に来た。

 なので俺は質問する。




「まさか、お前がこの世界を創ったってことじゃないんだろうな?」




「それこそ、まさかだよ。ただの人間の僕にそんなことはできないよ」




「なら、どうして新井さんがここにいるんですっ?」




 恵ちゃんの問いに新井はふと考え顔になる。だがなにかを思いついたようで手をポンと打つ。




「思い出したよ。僕はずいぶん以前にこの世界で創られたんだ。今から創った人に紹介するよ」




 そう行って新井は元来た道を戻り出す。

 俺、恵ちゃん、秀子ちゃん、集子ちゃんは互いに顔を見合わせた。なにか釈然としない感じがするのだが、他に手段がないので仕方なく着いて行くことにしたのだ。




 町並みは相変わらず無人で道の両脇の土産物店、蕎麦屋、大衆食堂、うなぎ屋などが並んでいるがどこも戸を閉ざしていて開業している様子はない。

 そして道の真ん中にコンクリート製の板で蓋をされている暗渠の隙間からわずかな硫黄臭が感じられ始めたのだ。




「……もしかして、ここには温泉があるのか?」




「そうですねっ。温泉郷なのかもしれませんっ」




 そうなのだ。

 緩い坂道を登って行くにつれて硫黄臭は徐々に強くなってくる。暗渠の隙間からも湯気が目に付くようになっていた。




「目的地は温泉なのか?」




 俺は先頭を歩く新井に尋ねる。すると新井は足を止めて振り返る。




「そうだよ。温泉宿になるね」




「温泉。魅力的」




「ふぉふぉふぉ。温泉はいいのう」




 秀子ちゃんと集子ちゃんは温泉と聞いて喜んでいるようだ。まあ、恵ちゃんも目をキラキラ輝かせているし、俺も温泉自体は嫌いじゃない。なのでちょっと楽しみだ。

 そして新井は更に坂道を登って行く。もう土産物屋街はすぎて温泉旅館の姿がちらほら見えてきたのだった。

温泉郷だったのです。(`・ω・´)∩


 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。


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