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35話 届かぬ寝床です。

【毎日昼の12時と夕方の18時に更新します】


この物語は毎話毎話が短いです。

それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。

……決して、私の手抜きではありません。

……きっと。





「まさか、その神棚で寝るって訳じゃないだろうな?」




 俺は問うた。




「そのまさかですっ。

 私が身体の大きさを自由に変えられるってのを忘れたんですかっ?」




 そうだった。

 こいつはどんな大きさにもなれるのだった。




「そうと決まれば善は急げですっ」




 そう言うと恵ちゃんは俺の眼前でみるみる小さくなった。

 なるほど神棚にジャストサイズだ。まるで魔法だ。




「……困りました」




 畳の上で小さくなった恵ちゃんが、

 俺を見上げてそう言った。




「なにが困ったんだ? 

 そのサイズなら神棚に入れるだろう?」




 俺は尋ねる。

 すると恵ちゃんは俺よりも上を見上げた。




「神棚に届かないですっ」




「……はあ。

 ……空は飛べないのか?」




「飛べません」




 恵ちゃんは悲しそうな顔になる。




「もうちょっと知恵を働かせろよ。ったく」




 俺は踏み台を用意した。

 そして恵ちゃんを手のひらですくうと踏み台に乗って手を伸ばす。




「ああ。嬉しいですっ。

 ……はいっ。到着ですっ」




 恵ちゃんは、よいしょと声をかけて俺の手のひらから神棚に乗り移る。

 そして扉を開けると中へと身体を滑らせた。




「……覗いちゃイヤですよっ」




「覗くかっ!」




 しょうもないと思った。

 タダでさえ幼児体型の恵ちゃんなのだ。

 その上ミニマムになった身体を誰が好むと言うのだ。




「わかりました。じゃあ、寝ますねっ」




 そう言った恵ちゃんは今度こそ扉を閉じた。




「……俺も寝るか」




 俺は踏み台を元に戻し、服を着替えた。

 そして敷いてある布団に身体を滑り込ませ明かりを消した。




「はあ、今日もいろいろあったな」




 俺は学校でのシーンやついさっきの食事の場面などを思い出す。

 押しかけ神様に翻弄された日々だったが、

 今日も無事に床に就くことができたのは、やっぱり嬉しい。




 そして夜が更けた。

 なにごともなく安眠したい俺だったが、

 やっぱり頭上から、ガアガアといびきが聞こえてくる。




 神棚からいびきが聞こえてくるというのは、

 考えてみたら実にシュールな絵面(えづら)だ。




「小さくなってもいびきは一人前なんだな」




 俺は寝返りを打つと静かに目を閉じた。

 そして最初は気になっていたいびきもだんだん慣れてきて、

 知らないうちに深い眠りへと落ちていったのであった。




 そして翌朝。

 俺と恵ちゃんは待ち合わせの駅へと向かっている最中だった。




「……どうして寝坊したんだ?」




 俺たちは走っていた。

 理由は簡単だ。俺だけじゃなくて、

 昨日は早起きして朝食を作ってくれていた恵ちゃんも寝坊してしまったのだ。




「新しい木の香りが安眠を誘ったんですっ」




 俺の前方で走りながら後ろを振り返るという器用な真似をしながら、

 恵ちゃんが涙目で言った。




 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。


私の別作品

「生忌物倶楽部」連載中


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み

「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み

「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み

「墓場でdabada」完結済み 

「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み

「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み

「空から来たりて杖を振る」完結済み

「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み

「こころのこりエンドレス」完結済み

「沈黙のシスターとその戒律」完結済み


 も、よろしくお願いいたします。


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