348話 お宝の正体なのです。
コロナウィルス感染で執筆が進みません。
かろうじて今回分は間に合いました。
「先生になんてことするんだ。神力を使うな」
「はう。……痛いのですっ。……久々に若杉先生を見たので、ついつい神力を使いたくなってしまっただけですっ……」
涙目になって恵ちゃんがそう白状した。
まあ、未遂だったのでこれ以上の手刀はいいだろう。
そこで俺はあることに気がつく。なのでこの世界を創った本人に訊いてみることにした。
「なあ、集子ちゃん。そう言えばなんだが管理人は若杉先生ってのを知っていたのか?」
俺は集子ちゃんに質問した。すると集子ちゃんは天井を見上げてしばらく黙考した。そしてやがて口を開く。
「ふぉふぉふぉ。記憶にないのう。たぶんランダム設定にしたんじゃろうな」
こちらも頼りない返答だった。まあ、200年も前に創った世界だから元ジジイの集子ちゃんは憶えてないんだろうな。
「では、授業を始めます。ここは宝島ですから宝があります。ではなんで宝が必要だと思いますか?」
若杉先生が俺たち全員の顔を見ながらそう尋ねてくる。
「ふぉふぉふぉ。金持ちになるためじゃのう」
「違います」
集子ちゃんの返答をすぐさま若杉先生が否定したのだ。そこで俺は疑問に思う。宝って言うには当然、金銀財宝を思い浮かべる。それを手に入れれば金持ちになれるはずだ。なのに先生は違うと言うのだ。
「じゃあ、なんのために宝探しをするんですかっ?」
恵ちゃんがもっともなことを尋ねる。すると若杉先生はタイトスカートのホックを外してするりと脱ぐと今度はブラウスのボタンを上から順番に外して……。
俺が睨むと恵ちゃんがハッとなった。そして腕をクロスさせて俺の手刀を警戒する。そして若杉先生はボタンを元に戻していた。
もちろん先生にはその恥ずかしい記憶がないようで平然としていた。
「この世界からの脱出のためのもの。それがこの島の宝物なのです」
「「「「おお~っ」」」」
俺たち4人からどよめきが起こった。確かに金銀財宝でないのでなくてもこの世界からの脱出アイテムであれば十分に、いや、十二分に宝物だ。
「先生。その宝物はどこにあるんですかっ?」
恵ちゃんがまたもや挙手して質問した。すると若杉先生は我が意を得たりとばかりのニッコリ笑顔になるのであった。
「この北の洞窟の地下5階にあります。そこまで先生が案内しますね」
それから若杉先生を先頭に俺たちは後に着いて行く。教室を出て地下2階に向かう階段が見えているので、てっきりそこに向かうのかと思ったら、先生は壁に向かって歩いている。
「先生っ。階段は向こうですよっ」
恵ちゃんが先頭を行く若杉先生に話しかける。だが先生はニッコリと笑顔を見せてそのまま壁に向かって進んで行く。
……なにがあるんだ?
そうなのだ。
各洞窟はすべて地下5階まであると聞いている。そして階段が目の前にあるのだから当然そこへ向かうはずなのだ。
だが、先生はまったく階段に行こうとしない。
やがて壁の前に到着した若杉先生は俺たちを振り返った。そして口を開く。
「エレベーターがあるのですよ」
そう言った若杉先生は上下に2つ出っ張った小石のようなものの下の方を押す。
もしかして、あれがエレベーターの呼び出しボタンなのか?
エレベーターがあるのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。