346話 教室があるのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「……って、あれ布団じゃねーか?」
「そうですねっ。布団に見えますねっ」
「でも不在」
「ふぉふぉふぉ。誰かが寝ているようには見えんのう」
そうなのだ。
石畳の上に直接布団が敷かれていたのだが、誰かが眠っている様子には見えない。ペタンと平らだし頭も見えないしな。
俺たちは布団に近寄った。
全員で四方から布団を見下ろす。
「なんでこんなところに布団があるのか謎だな」
「……ああっ。ちょっと温かいですよっ」
恵ちゃんが掛け布団を捲って中に手を入れてそう発言した。どれどれと俺、秀子ちゃん、集子ちゃんも手をいれる。確かにほんのりと温かい。
「ってことはさっきまで誰かがここに寝ていたってことだよな」
「そうですねっ」
「管理人……?」
「ふぉふぉふぉ。管理人の可能性があるのう」
俺たちは辺りを注意深く見回した。だが誰の姿もない。おそらくたぶん管理人はもうここにはいないのだろう。
「これだけ捜して姿がないんだから、別の洞窟に向かったんだろうな」
「そうですねっ。じゃあ私たちもここを出ましょうっ」
そういうことで俺たちはこの西の洞窟を出て山の頂上に到着するのであった。
これまで東、南、西の洞窟に入った。
「北の洞窟にしましょうっ」
「そうだな。……まあ、東、南に戻った可能性もあるが北はまだ入っていないからな」
いちおう全員で話し合ってみた。その結果、やはりまだ入っていない北の洞窟にしてみようという結果になった。
そして北の洞窟に入った。苔むした石段は変わらないのだが下に降るにつれて変化がある。明るいのだ。
下に行けば行くほど明るさが増してくる。
「今までの洞窟と違うな」
「そうですねっ。明るさが違いますっ」
「本命っぽい」
「ふぉふぉふぉ。これは当たりかのう」
そして地下1階に到着したのである。そして俺たちはその様子を見て唖然としてしまうのであった。
そこには見覚えがある風景が広がっていたのだ。
「教室だな」
「教室ですねっ」
「教室だけ」
「ふぉふぉふぉ。1年2組じゃのう」
そうなのだ。
そこには校舎の壁から切り抜いた形で1年2組の教室だけがドームの中央に置かれていたのだ。
なぜ1年2組とわかるかは出入り口の扉の上にプレートがあるからだ。
「だけど、どの学校の1年2組かわからないぞ」
「そうですねっ。でも入ってみればわかるかもしれませんっ」
「同意」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。入ってみるかのう」
俺たちは床の石畳を進み教室の前へと到着した。そして扉を開けるのであった。
そこは間違いなく俺たちの1年2組の教室だった。
間取りだけじゃなく壁に貼ってある標語や部活勧誘のポスターなどが記憶通りなのもあるのだが、それ以上に間違いない証拠があった。
「……若杉先生?」
なぜか1年2組の教室があったのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。