343話 魔物すべて撃破なのです。
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俺は俺に背を向けているストーンゴーレムを観察する。やつは服を奪ったことで満足している様子で動きを止めている。
俺は弱点になりそうな部位がないかとじっくりと眺める。
……おや?
俺はある部分が気になった。それは頭と胴体の間、つまり首である。よく見ると頭と胴体を繋いでいるのは球体になっているのだ。つまり球体関節。ロボットなどでよく見掛ける造りである。
更に見ると肩や腰、膝なども球体関節になっているのがわかった。そしてその部分は他の胴体部分と比べるとやや脆いように感じるのだ。まあ、胴体や腕は岩石なのだから硬いのは当たり前で関節部分がしなやかに動作するように造られているのはそれも当たり前なのだろう。……試してみるか。
「ていっ」
俺は左膝の関節を狙って槍で突いた。するとグサッとした手応えがあり、次の瞬間の左膝がもげたのだ。
……あれ? 意外ともろい?
ドタンッと大きな音がした。ストーンゴーレムが左足を失って倒れた音だった。そしてストーンゴーレムは立ち上がれないことから両手を地面につけていた。なので首の球体関節が槍で狙える高さになっていたのだ。
「……これ、やれるんじゃね? ていっ!」
俺はストーンゴーレムの首の関節に槍をブスリと突き刺した。すると首がゴロリともげて地面に落ちたのだ。
そしてドタンッとものすごい音を立てて地面に突っ伏してしまった。そしてその後、動く気配はない。
どうやら倒せたようだ。
やがてストーンゴーレムのその巨体は地面に吸い込まれるように消えていく。
「……ふう。倒せたな」
俺は地面に残された服や下着を指さした。
「向こう向いているから早く着てくれ」
すると全裸で蹲っていた恵ちゃん、秀子ちゃん、集子ちゃんが顔を上げる。
「なんどもありがとうございますっ」
「助かった」
「ふぉふぉふぉ。恩に着るのう」
そして俺が背を向けている背後でまた騒ぎが起こる。神様と言ってもやはりそこは女なのだ。3人も揃うと姦しい。
「だから白い下着は私のですっ。秀子ちゃんは青ですよっ」
「間違えた」
「ふぉふぉふぉ。儂も間違えたのう。儂は黒じゃった」
どうやら着る下着をまたもや間違えているようだった。
そのやり取りをついつい想像してしまうのは10代の少年には当たり前なのだ。
だが俺は理性を保つために必死で脳内の映像をかき消す。そして当然振り向くことはしないのだった。
■
それからも大型トカゲ人間のリザードマン。樹木型人間のトレントと言った魔物と遭遇した。
それらに共通するのは必ず女神たちを全裸にすることだ。リザードマンは手にした槍と長い尻尾を使って服を奪い取るし、トレントは多数茂った枝を伸ばして衣服を剥ぎ取るのだ。それで3女神たちは戦闘不能になってしまうのだが、服を奪い取ったことで小躍りしている隙をついて俺が槍で倒すという同じパターンになっていた。
「ふぉふぉふぉ。これでもう魔物は出んのう」
「それは良い知らせだ。だが、なんでこの島の魔物たちは女を脱がしたがるんだ?」
「ふぉふぉふぉ。設置するとき詳細は見てなかったからのう。おそらくゴブリンの設定は引き継がれたんじゃ」
なんてことだ。
この元ジジイは中身がボケていやがるのか? それともやはり元がジジイだけあって女性の側で受ける被害を考えることができなかったのか……。
まあ、それにしてもだ。もう魔物が出てこないのは朗報だ。
気がつけば森はすっかり抜けていてなだらかな山の斜面に俺たちは立っている。これからいよいよ宝探しだ。
魔物はすべて撃破したのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。