339話 服を盗られたのです。
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「死骸は残らないんだな」
「そうですねっ。なんか地面に吸い込まれていきますよっ」
そうだった。
グニャグニャで平らに広がった状態のスライムの死骸は水が染み込む砂場のように土の地面に吸い込まれていったのだ。
「ふぉふぉふぉ。グロいのは嫌だからのう。こういう仕様にしたのじゃ」
集子ちゃんからそう説明が入った。今倒したのはスライムだから別にグロくはないのだが、血や肉を持つ魔物だと確かに直視したくない状態になる。それが好ましくないので地面に吸い込む形で消滅するように集子ちゃんが創ったらしい。
「ま、まだ序盤だからな。森はまだまだ続くから気を引き締めて行こう」
「了解ですっ」
「承知」
俺たち4人は新たに覚悟し直して先へと進むのであった。
そしてスライム討伐後20分くらい経過したときだった。またもや茂みからガサガサとした音がしたのだ。
そして揺れる茂みから姿を見せたのは緑色の肌を持つ小人たちだった。腰布だけを巻いた緑色の体色。凶暴そうな顔つき。口から垂れるよだれ。そして鼻が曲がりそうな悪臭を放つのが4匹現れたのだ。手には棍棒を持っている。
「ゴブリンですねっ」
「そうだな。ゲーセンでも戦ったな」
そうなのだ。
あのときは女神たちの服が奪われて大変だったのだ。
「今回も4匹で俺たちと同じ数だ。ひとり1匹で戦うぞ」
「わかりましたっ」
俺は恵ちゃんの返事を聞きながら槍で目の前の1匹を攻撃した。だが目標はスルリと躱してしまった。
俺の槍が刺さる直前にひらりと横に飛んだのだ。
「まずい、素早いぞ」
俺は臥留子ちゃんが創った世界のゲーセンを思い出す。あのときもゴブリンは高速移動をしていたのだ。どうやらこの集子ちゃんが創った世界でも動きは同じようだ。
「「「キャーッ!!」」」
背後から悲鳴が聞こえてきた。俺は思わず振り返る。そして口をあんぐりと開けて呆けてしまったのだ。
「……なんでだ?」
そうなのだ。
まず恵ちゃん。着ていた黄色いワンピースがなくなっていて上下白の下着のみの姿となっている。そして秀子ちゃん。着ていた青いTシャツとショートデニムパンツがなくなり、やはり上下とも青い下着姿だ。なぜか青いキャップは被っている。極めつけが集子ちゃん。海賊キャプテン衣装のコートも帽子もすべてなくなっていて、こちらもやはり上下だけの黒の下着姿になっていたのだ。
「「「服、盗られたっ」」」
そうなのだ。臥留子ちゃんの創造した世界のゲーセン同様に、この世界のゴブリンも女性の服を奪う仕様になっているらしい。……だがなぜか武器は奪わなかったが。
「は、恥ずかしいけど、まだ戦えますっ」
「戦闘継続」
俺はある疑問が浮かんでいた。
それはなぜ集子ちゃんが臥留子ちゃんの創った世界のゴブリンとこの世界のゴブリンを同じ設定にしたのかだ。
服を盗られてしまったのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。