338話 魔物の登場なのです。
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「なんでそんな危険な真似を?」
「ふぉふぉふぉ。冒険にスリルはつきものじゃ」
そういうことらしい。
なんとも納得できないのだが、わかったことがひとつある。
それはこの先にある罠もこれから登場するであろう魔物たちもいつどこで鉢合わせるかわからないってことだ。
「いきなり不安ですねっ……」
「絶望」
恵ちゃんも秀子ちゃんも肩をがっくり落として盛大にため息をつくのであった。
森の中にはちゃんと道がある。もちろん舗装なんかはされていない土の道だが、道があると言うのは移動に楽だということだ。
罠は当然、道に設置されているのだろう。じゃあ、かと言って道をそれて両脇の森を進むには植物の密度が濃すぎてとてもじゃないがまともに歩くことなんてできそうにない。
なので俺たちは罠の危険があろうとうも道を進むしか仕方がないのだ。
「もうだいぶ進んだな」
「そうですねっ。森の半分くらいは過ぎたんじゃないでしょうかっ」
「割と危険だった」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。だが罠はもう終わりじゃな」
そうなのだ。
あの後も罠はいくつもあった定番の落とし穴には穴の下は尖った木杭が何本も設置された凶悪なものだったし、足を引っ掛けると大きな網で枝の下まで釣り上げられる罠もあった。その罠には恵みちゃんがかかったが、槍で網に孔を開けることで簡単に救助できたのであった。
いちばん凶悪だったのは坂道の上から巨大な丸い岩が転がってくるものだった。俺たちは悲鳴を上げながら両脇の森の中に飛び込むことで回避できた。これが洞窟のように逃げ場がなかったら絶対に死んでいただろうな。
「ふぉふぉふぉ。ここから先は魔物が出るはずじゃのう」
嫌なことを集子ちゃんがさらりと言う。
その顔を見ると何事か考えているようだ。
「なんか、あるのか?」
「ふぉふぉふぉ。はて……、どんな魔物が出るはずじゃったかのう」
「憶えていないんですかっ?」
「困惑」
どうやらこの元ジジイはボケてしまったのだろうか。自分で配置したくせにどんな魔物を用意したのか忘れてしまったらしいのだ。
まあ、でもだ。忘れてしまったことをいつまでも追求しても意味がない。俺たちは仕方なく森を進むのであった。
それからしばらくしたときだ。
こんもりと茂った叢からガサゴソと音がした。
「なにかいますよっ」
「むう。魔物かも」
恵ちゃん、秀子ちゃんがそう言って警戒して槍を身構える。すると青色をした丸い物体が4匹ほどボーンと弾むように飛び出してきた。
「スライムだな」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃった最初は弱い魔物を配置したんじゃった」
どうやらこのスライムたちは間違いなく集子ちゃんが用意した魔物であるようだ。しかも数が俺たちと一致している。これはひとりが1匹ずつ対処しろということだろう。
「ひとり1匹ずつな」
「わかりましたっ」
「ふぉふぉふぉ。キャプテンは儂なんじゃがのう。まあ、ええかのう」
「承知」
そして俺は槍を両手で握り、タイミングを見計らって1匹のスライムに突き刺す。するとズルリと手応えがあり、スライムはグニャリと平らに広がって動かなくなる。
そして見ると恵ちゃん、集子ちゃん、秀子ちゃんも問題なくスライムを倒していた。
スライムを倒したのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。