337話 罠なのです。
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「この草原に罠があったり魔物が出たりするのか?」
俺は最も気になっていることを質問した。
すると先頭を歩いている集子ちゃんが振り返り返答する。
「ふぉふぉふぉ。草原には罠はないぞ。魔物も出んのう」
「安心しましたっ」
「歓迎」
俺は安堵する。あそこの森に行くまでだが取り敢えずは安心できるようだ。
そして草原を俺たちは進む。
少し強めの風が吹いていてむき出しの肌を撫でるのが気持ちいい。
だがそんな快適な空間も長くは続かなかった。森の入口に到着したのだ。
「なんか不気味だな」
「そうですねっ。中はかなり暗いですっ」
「深い森」
そうなのだ。
空には中天の位置に太陽があって、強い日差しが降り注いでいる。なのに森の中は陰鬱とした暗さになっている。木々の密集が激しいのだ。
「ふぉふぉふぉ。じゃあ入るかのう」
そう言って集子ちゃんは先頭になって森へと入って行く。なので仕方なしに俺、恵ちゃん、秀子ちゃんも続くのであった。
森の中はもう夕暮れと思えるほど薄暗い。ときおりギャギャギャと不気味な鳴き声も聞こえてくる。あれば鳥だろうか。
そしてそんなときだった。
「ふぉふぉふぉ。そろそろ罠があるはずじゃ。気をつけるのじゃぞう」
突然にそんなことを集子ちゃんが口走る。俺、恵ちゃん、秀子ちゃんに緊張が走る。
……落とし穴か?
俺は落ちていた小枝を使って地面をつつく。だが落とし穴がありそうな気配はない。
「うーむ。どうも落とし穴系の罠ではなさそうだな」
「と、すると足を引っ掛けた拍子になにかが発動する罠かもしれませんっ」
「……あ。踏んだ」
秀子ちゃんが絶望の表情でそう告げたのだ。どうやらなにかの仕掛けを踏んでしまったらしい。
すると次の瞬間、木々の向こうからブゥーンと唸りを上げてロープに吊られた太い丸太がこちらに向かって飛んできたのだ。
「うわっ、危ねえっ!」
「た、大変ですっ」
「仰天」
俺、恵ちゃん、秀子ちゃんは慌てて地面に伏せるのであった。そして丸太が飛び去って立木にドカンッと派手にぶつかり制止したのを確認すると立ち上がる。
「なんなんだよ!」
「殺す気ですかっ」
「危険」
俺たちは集子ちゃんを見た。なぜならばこの世界を創ったのが集子ちゃんなのだから、当然この危険極まる罠を設置したのも集子ちゃんだからだ。
だが、その集子ちゃんだが腰を抜かしたかのように尻もちをついているのである。
「……ふぉふぉふぉ。罠もランダムに設置したのじゃ。なので儂にも詳しい設置場所も罠の種類も不明なのじゃ」
なんてことだ。
まかり間違えば創造主本人さえも死んでしまう可能性があるのに、こんな危ない方法で集子ちゃんは罠を設置していたのであることが判明したのだ。
危険な罠なのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。