335話 武器が必要なのです。
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そして船は宝島をぐるりと半周した。
するとこの大きな帆船が余裕で入れる大きな洞窟がぽっかりと開いていたのだった。
集子ちゃんは舵輪を操作して帆船を洞窟内へと入れた。見事な操船技術だ。さすがキャプテンだけはある。
そして洞窟の中は波が穏やかでこの帆船が停泊できるだけの大きさの桟橋があった。集子ちゃんは俺たちに指示を出し錨を水中に沈ませるのであった。
「ふぉふぉふぉ。手下ども準備はいいかのう?」
そう言って剣を頭上に掲げながら集子ちゃんが問う。俺と恵ちゃん、秀子ちゃんは互いに顔を見回す。
「準備と言っても、いったいどうすればいいんだ?」
「そうですっ。具体的になにをするのか説明してくださいっ」
「意味不明」
そうなのだ。
俺たちには情報がほとんど与えられていない。わかっているのはこの島に財宝が隠されているってだけなのだ。
「ふぉふぉふぉ。準備とは心構えのことじゃったのじゃが……。まあ、いいじゃろう。では説明するぞい」
それから集子ちゃんから説明があった。まず下船し桟橋の向こうにある階段を登ると地上に出られるとのこと。
そして森を抜けて島の中央部にある山を登り、その山頂付近に洞窟が隠されていて、その中に宝箱があると言うことらしい。
「割と簡単じゃね?」
「そうですねっ。お使い程度のお仕事ですっ」
「難易度低め」
俺たちは拍子抜けして正直な感想を言う。だが集子ちゃんはニヤリと嫌な笑みを見せたのだ。
「ふぉふぉふぉ。道中に罠が設置されておるし、森には魔物も出るんじゃがのう」
なんだそれ! 思いっきり凶悪な状態じゃないかよ。
俺は憤りを感じる。そんな場所に付き合わされてたまるか、って思いだ。
だが、それは俺だけじゃなかったようだった。
「そんな場所になんて行けませんっ。私は反対ですっ」
「同意。断固不参加」
恵ちゃんも秀子ちゃんも俺と同じで行くのに反対の態度だった。
だが、集子ちゃんはそんな俺たちの不満などお構いなしのようで笑みを崩さない。
「ふぉふぉふぉ。財宝を見つけないとこの世界からは出られんぞ。それに手ぶらで行けと言っている訳じゃないのじゃ」
そう言いながら集子ちゃんは俺たちを手招きして船室へと案内する。そして木造の船内の一室に到着した。
そこは武器庫だった。
「ふぉふぉふぉ。武器を使えば戦えるのう」
集子ちゃんはそう言うが俺たちはこんな前時代的な武器なんて使ったことないからな。
ここには剣、槍、弓矢といったこの帆船の時代に合った武器が並んでいる。俺は手近にあった剣を手に取る。……重い。これを振り回すなんてしたら3分で息が上がりそうだ。
「剣は駄目だな。重すぎる」
「そうですねっ。でも弓矢も無理そうですっ」
「素人の矢は当たらない」
確かにそうだ。
素人が簡単に当てられるのであれば、弓道やアーチェリーが競技になっているはずがない。
罠や魔物が待っているのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




