334話 宝島発見なのです。
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「ふぉふぉふぉ。他の船な襲わんぞ。それにこの世界では船はこの一隻だけじゃのう」
なるほど。
集子ちゃんが神力で創った世界なのだ。だからそういう設定なのだろう。
「じゃあ、なにをするんですかっ?」
「ふぉふぉふぉ。海賊と言えば宝探しじゃのう。この先に宝島があるんじゃ。そこで隠された財宝を探すんじゃ」
ちょっと待て。
この世界は集子ちゃんが創った世界なんだろ? だったら宝の在処なんて最初からわかってるんじゃないか?
俺は当然の疑問を持つ。だがそれは恵ちゃんも秀子ちゃんも同じだったようで、さっそくツッコミが入った。
「自分が創った世界の宝の隠し場所なんて始めからわかってるんじゃないですかっ?」
「むう。自作自演」
だが、集子ちゃんはそこでドヤ顔を見せる。
なにやら芝居がかった仕草で剣を抜き、船の前方に向かって掲げたのだ。むろんその先には海と空しか見えないが……。
「ふぉふぉふぉ。宝の在処は儂にもわからんように隠したのじゃ。なのでそこについては心配ないぞ」
言われてみればそうだ。
在処が最初からわかっている宝探しなんてちっとも面白くないしな。
なので目隠しして投げたボールを探すような感じで宝物を配置したんだろう。
「ところでその島までは遠いんですかっ?」
恵ちゃんが尋ねる。船の前方を見ても海しか見えないからな。それも当然の疑問だろう。だが、集子ちゃんはドヤ顔のままだった。
「ふぉふぉふぉ。手下が手に入ったから急ぐのじゃ。すぐに見えてくるだろうのう」
そう宣言する。
すると船がその言葉を理解したかのように帆を一層膨らませ速度が一気に加速するのであった。
「……これ、帆船の速度じゃねえぞ」
船は水を切り波濤を乗り越えてどんどん進む。これもたぶん集子ちゃんの神力なんだろう。そして1時間くらい経過したときだった。
「ああっ、島が見えますよっ」
前方をずっと見ていた恵ちゃんが突然叫んだのだ。
見ると水平線の辺りに緑の小山のようになった陸地があった。
確かに島だ。
「それほど大きな島じゃないな」
「ふぉふぉふぉ。無人島じゃしのう。半日も歩けば一周できるのう」
なるほど。
確かに財宝が隠された島に住民がいるのは不自然だ。宝を隠すのを見られる可能性もあるだろうし、それよりなにより発見されてしまう恐れがあるからな。
船は宝島に近づいた。だが近づいてわかったのだが島の周囲は断崖絶壁で船を寄せられそうにない。そして桟橋も見当たらない。
崖に当たって白く砕ける波が見えるだけだ。
「集子ちゃんっ。どうやって上陸するんですかっ?」
恵ちゃんが当然の質問をする。
すると集子ちゃんが島を指さした。
「ふぉふぉふぉ。島の反対側に大きな洞窟があるんじゃ。そこから上陸できるのじゃ」
なるほど。
さすが宝島だ。そういう通常あり得ない造りになっていても不思議じゃないな。そもそも集子ちゃんが神力で創った世界だしな。
宝島に到着なのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。